• "協議"(/)
ツイート シェア
  1. 熊本県議会 1990-06-01
    06月19日-05号


    取得元: 熊本県議会公式サイト
    最終取得日: 2023-05-26
    平成 2年 6月 定例会┌──────────────────┐│  第 五 号(六月十九日)    │└──────────────────┘ 平 成 二 年  熊本県議会六月定例会会議録    第五号──────────────────────────平成二年六月十九日(火曜日)   ────────────────────   議事日程 第五号  平成二年六月十九日(火曜日)午前十時開議 第一 一般質問(議案に対する質疑並びに県の一般事務について)   ────────────────────本日の会議に付した事件 日程第一 一般質問(議案に対する質疑並びに県の一般事務について)      ───────○───────出席議員(五十四名)                 大仁田 貞 夫 君                 高 野 誠 一 君                 水 野 秀 昭 君                 吉 本 賢 児 君                 村 上 寅 美 君                 草 村   照 君                 鬼 海 洋 一 君                 本 田 良 一 君                 松 村   昭 君                 久 保 立 明 君                 福 村 三 男 君                 前 田 貞 治 君                 池 田 貞 俊 君                 小早川 宗一郎 君                 岩 下 榮 一 君                 前 畑 淳 治 君                 野 田 将 晴 君                 荒 木 詔 之 君                 中 島 絹 子 君                 中 島 隆 利 君                 島 田 幸 弘 君                 島 津 勇 典 君                 大 西 靖 一 君                 倉 重   剛 君                 山 本   靖 君                 渡 辺 知 博 君                 西 岡 勝 成 君                 深 水 吉 彦 君                 阿曽田   清 君                 三 角 保 之 君                 永 田 健 三 君                 堀 内 常 人 君                 山 本 秀 久 君                 八 浪 知 行 君                 鏡   昭 二 君                 髙 田 昭二郎 君                 古 閑 一 夫 君                 大 森   豊 君                 馬 場 三 則 君                 古 閑 三 博 君                 平 川 和 人 君                 北 里 達之助 君                 広 瀬 博 美 君                 柴 田 徳 義 君                 金 子 康 男 君                 米 原 賢 士 君                 小 材   学 君                 八 木 繁 尚 君                 幸 山 繁 信 君                 池 田 定 行 君                 小 谷 久爾夫 君                 水 田 伸 三 君                 今 井   洸 君                 酒 井 善 為 君欠席議員(なし)   ────────────────────説明のため出席した者          知事     細 川 護 熙 君          副知事    山 内   新 君          出納長    伴   正 善 君          総務部長   板 倉 敏 和 君          企画開発部長 飯 原 一 樹 君          福祉生活部長 東 瀬 偉 一 君          衛生部長   星 子   亘 君          環境公害部長 佐 藤 幸 一 君          商工観光労働          部長     東 坂   力 君          農政部長   木 村 剛 勝 君          林務水産部長 木 村 幸次郎 君          土木部長   杉 浦 健 次 君          公営企業          管理者    小 澤   豪 君          教育委員会          委員長    安 永 蕗 子 君          教育長    松 村 敏 人 君          警察本部長  村 井   温 君          人事委員会          事務局長   中 島 伸 之 君          監査委員   野 口   浩 君   ────────────────────事務局職員出席者          事務局長   松 見 廣 海          事務局次長  中 島 太 白          議事課長   清 塘 英 之          議事課長補佐 宮 﨑 博 次          主事     小 池 二 郎      ───────○───────  午前十時四分開議 ○議長(北里達之助君) これより本日の会議を開きます。      ───────○─────── △日程第一 一般質問 ○議長(北里達之助君) 日程に従いまして、日程第一、昨日に引き続き一般質問を行います。 小早川宗一郎君。  〔小早川宗一郎君登壇〕(拍手) ◆(小早川宗一郎君) おはようございます。自民党の小早川でございますが、御理解をいただきまして、しばらくおつき合いをいただきたいと思います。 まず最初に、大嘗祭について、知事並びに教育委員長にお伺いをしてみたいと思います。 平成二年秋、本年の十一月、天皇は即位に伴う諸儀式、御大礼を行われます。諸儀式は、主に即位礼、大嘗祭、大饗、御親謁と続いてまいりますが、その中でも、大嘗祭は古来より天皇が一代に一度行われる最も重要なお祭りでございます。大嘗祭は、天皇が即位されて初めて行われる新嘗祭のことでございます。毎年十一月二十三日、天皇は宮中で新嘗祭をお務めになっておられます。稲の収穫を祝い、神々とともにその年にとれたお米をいただくことにより、翌年に向けて新たな活力、生命力を神々からいただくお祭りでございます。この新嘗祭を即位に当たって国民ともども厳粛にお務めになるお祭りが今回の大嘗祭でございます。 ところが、この諸儀式は、現憲法のもとでは初めてのために、いろいろの御意見がございます。しかしながら、我が国における天皇の存在は、はるか古代からの長い伝統に基づく深い意義を有するものであり、現憲法が第一条において、天皇の地位は「國民の總意に基く。」と定めているのもこうした深い伝統に根差したものであります。したがって、天皇の即位に関する儀式は、何をおいても伝統にのっとることが第一であり、憲法にかかわる論議以前の当然の国家的伝統行事であります。皇室と国民の相互の信頼と敬愛の精神を継承、発展させていく上で不可欠のことと思います。同時に、このお祭りには、日本人が過去から未来に向かって永遠に発展し続けていきたいとの民族の願いが込められております。大嘗祭を通じて、私たち一人一人が改めて天皇と国民とのきずなを実感し合うことにより、初めて平成の時代の幕開けとなると確信をいたします。 この即位に関する諸儀式を、伝統にのっとりすべてを国家の重儀として行うことは、我が国が健全に発展し国際的にも信用ある国家として認識させるためにも、国家の存在意義の原点として守らなければならない大切なことでございます。知事、教育委員長に対して、それぞれの御見解なり御所見なりをお伺いしてみたいと思います。 なお、県警本部長に要望を申し上げておきますが、来る七月の十日から十二日まで、第二十六回全国献血推進大会に御出席のために皇太子殿下が御来熊になられます。この三日間、すばらしい思い出をつくっていただいてお帰りいただきますように、県警挙げて警備に万全を期してほしいと要望をいたしておきます。  〔知事細川護熙君登壇〕 ◎知事(細川護熙君) ことしの秋に予定されております天皇の即位に伴う諸儀式についてのお尋ねでございますが、この皇位の継承を内外に公式に宣明する儀式は、皇室の長い伝統を受け継いだ重要な儀式であることは改めて申し上げるまでもございません。 国におきましては、憲法の趣旨に沿い、かつ皇室の伝統などを尊重して、即位の礼や大嘗祭、そして関連する儀式のあり方などについて、昨年の暮れに政府見解を発表しているところで、この趣旨にのっとって皇位継承の儀式が厳粛に行われることを祈念しております。  〔教育委員会委員長安永蕗子君登壇〕 ◎教育委員会委員長(安永蕗子君) 大嘗祭につきましては、天皇の即位に伴う諸儀式は、言うまでもなく皇室の長い伝統を受け継いだ大切な儀式でございます。私といたしましても、これらの儀式が政府見解の趣旨に沿い、厳粛に行われることを祈念いたしております。 また、教育に携わる者として、改めて平成という元号の意義に思いをいたし、世界に貢献する平和な日本を念頭に置いて人材の育成にさらに取り組んでまいりたいと思っております。  〔小早川宗一郎君登壇〕 ◆(小早川宗一郎君) この大嘗祭についての御答弁は非常に難しいだろうと思って質問やめようかなと思いましたが、恐らく昭和天皇が御逝去、御崩御なされたときも県は記帳所を設けたわけでございまして、恐らく今回も、大嘗祭のお祝いの記帳等が県民の間から盛り上がってくると思います。そういうときには、ひとつ昭和天皇の御崩御同様に、国民挙げてのお祝いでございますので、そういう記帳所あたりもぜひおつくりをいただきたいと思っております。 次に、国際化が進む中での熊本空港振興策について、二点についてお伺いいたします。 まず最初に、熊本国際エアカーゴ基地等整備構想の推進についてお尋ねをいたします。 我が国の経済社会が急速に国際化を遂げていく中で、海外渡航も急激に増加し、政府が目標とした海外への旅行者倍増計画、いわゆるテン・ミリオン計画、一千万人計画も一年早く大台を突破する状況にあります。また、国際航空貨物についても、ここ十年で二・九倍に達しており、十年後には現在のほぼ二倍の三百二十万トンに達するものと予測されます。特に最近の外食産業の進展やグルメ志向の高まりから、質が高くかつ個性的な商品を全世界から輸入する傾向が強まり、成田空港は世界各地からの生鮮食料品であふれ返っており、中でも魚類の取扱高が急増し、成田は日本一の漁港とさえ言われております。成田空港には、我が国の国際航空貨物の八〇%以上が集中し、ますます集中化の傾向にあるため、取り扱い能力も限界に達しつつあり、通関手続も長期化する等、輸入促進にブレーキがかかっており、成田だけに窓口を集中させている状況は、輸入障壁の大きな要因ではないかとの指摘が諸外国からなされているところでございます。 この問題が先般の日米構造協議にも取り上げられ、当面の日本側の対応策として、主要地方空港国際輸送への活用策等、種々の空港整備について検討するとの中間報告がまとめられているところであり、今後国としても、成田空港への一極集中を改善するとともに、多極分散型国土の形成を促進するため、地方空港を積極的に活用した国際航空貨物受け入れ態勢の整備に積極的に取り組んでいくものと考えられます。 御承知のように、熊本空港には国際線としてソウル線が就航いたしておりますが、国際航空貨物については国際定期路線が少ないため、ほとんど成田、大阪、福岡空港から通関をされております。したがって、当面は、国際旅客定期便の貨物室を使った輸送を促進し、受け入れ態勢の整備を図っていくべきであり、香港を初め東南アジア諸国との航空路線の開設がぜひとも必要であります。そうした実績づくりとともに、貨物チャーター便の誘致、さらには貨物専用定期便の実現へと結びつけていくべきであろうと思います。 熊本国際エアカーゴ基地は、九州における国際航空貨物拠点基地化を目指そうとの試みであると思いますが、現在の九州地域の貨物需要動向から見て九州だけでは存立が難しく、関西地域の一部までカバーしないと成り立たないと言われており、流通業界、各種団体、行政が一体となって取り組んでいかないと実現は大変難しいと思われます。もとより、国際航空貨物取り扱い基地が一朝一夕にでき上がるものではないことは承知しておりますが、地道な努力を続けていくとともに、二十一世紀を展望した先行的な取り組みを進めていくべきであると思います。 幸い、熊本空港は、九州各地への交通アクセスにも恵まれ、施設整備のための用地も確保しやすく、また滑走路等の拡張も容易であるところから、先行的な施設整備も可能であると考えます。知事も各種の会合で、熊本空港国際航空貨物の拠点空港として整備していきたいと述べられておりますが、今後県として熊本国際エアカーゴ基地の整備構想をどのように推進しようとしておられるのか、お尋ねをいたします。 次に、熊本空港国際線振興についてお伺いをいたします。 昨年、熊本空港は、国際線開設十周年を迎え、平成元年一年間で熊本空港発着チャーター便を含めた国際線の利用者数は二万八千人を超え、過去最高の利用実績を誇っております。また県では、この十周年記念事業を通じてソウル線利用促進策を行い、また十月には、香港線の誘致に向けOctoberキャンペーンを実施するなど、積極的な国際線振興策を実施をされているようであります。しかし、ソウル線については、大韓航空からソウル、熊本、鹿児島の三地点という形で運航再開を行うとの説明を受け、議会においても、大韓航空が熊本と鹿児島の二地点に乗り入れができるよう、韓国政府に航空協定改正の働きかけを行ってきたにもかかわらず、大韓航空は、去る五月末から鹿児島─ソウル線の開設を先行させたわけであります。韓国側では、国際線における複数航空会社間の競争も始まり、大韓航空としても、航空協定上確保している地点への乗り入れを早急に実施せざるを得ない状況であったようでありますが、一方で、熊本空港からは日本航空によるソウル線が就航しており、熊本または鹿児島のいずれかの一地点の選択においては、収益性を考慮して鹿児島を選択したと判断されるわけであります。 いずれにせよ、現行の日韓航空協定では大韓航空の熊本への乗り入れができなくなったわけでありますが、今後韓国側はこの日韓航空協定の改正を要望する意思があるのか。また、大韓航空熊本乗り入れの意思があるのかどうか。さらに、日本航空によるソウル線も、利用客は従前に比べて増加はしたものの、採算ラインぎりぎりの利用率であるとも聞いております。これに加えて、本当に韓国航空会社乗り入れの必要性があるのかどうか。これを踏まえて、今後県が取り組むソウル線の拡充策についてお聞きしたいと思います。 また、ソウル線に続く新規国際定期航空路線として期待されている香港線についてでありますが、去る五月八日から十一日までロンドンで開催された日英航空交渉において、香港と日本国内の新たな一地点との間に新たに定期航空路線の開設が認められたわけであります。この新規路線の新たな一地点については、香港ドラゴン航空が九州内から選択するというふうに聞いております。 六十二年から始まった熊本空港発着ドラゴン航空チャーター便は二百三十二便が実施され、利用客は一万七千人を超える実績をつくっております。特に昨年十月に実施したOctoberキャンペーンなど、県では積極的な運航支援対策を通じて香港線の誘致活動を行ってきたわけでありますが、新たな乗り入れ地点としては、熊本、長崎、大分などの地点が候補地として挙がっております。県は今後どのような誘致対策を行っていくのか、お尋ねしたいと思います。  〔知事細川護熙君登壇〕 ◎知事(細川護熙君) お話がございましたように、国際航空貨物成田空港への一極集中を改善するための方策として、主要地方空港国際輸送に活用しようという機運が出てまいっております。現状におきましては、成田空港など大都市圏中心物流システムができ上がっておりまして、本県内で発生する国際航空貨物需要取り扱い状況を見ましても、一部は大阪、福岡空港を利用しておりますものの、大半が成田空港に集中し、熊本空港の利用は年間数トン程度にとどまっているというのが現状でございます。 熊本空港国際航空貨物拠点づくりを展開する場合に、まず熊本空港の関連施設の整備とともに、困難な課題ではございますが、こうした大都市圏中心物流そのものの仕組みを変えていく必要があるわけで、そのためには、まず荷主、流通業界、航空会社、税関、出入国管理、検疫、そういった諸機関の理解と協力のもとに受け入れ態勢づくりを推進していくことが何よりも肝要であると考えております。そうした合意づくりの一環として、航空貨物の専門家を招聘し、先般第二回目の国際航空貨物フォーラムを開催をしたところでございます。 幸い、熊本空港は、お話にもございましたように、交通、用地などの面で国際航空貨物の拠点となり得る条件を備えており、その点におきましては、関係各方面の御理解を得やすいものと思いますし、当面、滑走路の拡充を現在国において策定中の第六次空港整備五カ年計画に盛り込むように働きかけてまいりますとともに、将来を展望した先行的な整備を行うための施設整備構想を策定をしたいと考えているところでございます。 さらに、エアカーゴ基地化を促進するため、経済界、国の関係機関、関係自治体などが一体となった組織づくりにも取り組みますとともに、熊本空港における貨物チャーター便の誘致あるいは国際定期路線の開設などの働きかけも引き続き行ってまいりたいと思っております。  〔企画開発部長飯原一樹君登壇〕 ◎企画開発部長(飯原一樹君) 熊本空港の国際線の振興についてのお尋ねでございますが、まず、ソウル線につきましては、既に大韓航空が鹿児島に乗り入れを行っておりますので、韓国側航空会社が熊本に乗り入れを行うためには日韓航空協定の改正が必要であります。 大韓航空熊本乗り入れの意思を確認するために、去る六月十二日に交通通信対策特別委員会正副委員長及び執行部が大韓航空ソウル本社を訪問したところでございまして、その際、大韓航空側からは、航空協定の改正については既に韓国政府の了解を得ている、また、航空協定改正後には早急に熊本への乗り入れを実現したい旨の説明を受けたところであります。 また、日本航空によるソウル線の昨年一年間の利用実績は一万七千人を超え、過去最高の実績を上げているものの、利用率は六一・七%にとどまっておりまして、今後ソウル線の一層の利用促進を図っていくためには、日本航空に加えて韓国側の航空会社乗り入れることによりまして、県民にとって熊本─ソウル線の利便性が高まることが有効であると考えております。こうした観点から、引き続き国に対して航空協定の改正を働きかけていくことといたしております。 また、香港線についてでありますが、さきの日英航空交渉香港側航空会社に日本国内の新たな一地点への乗り入れが認められましたが、その地点の決定権は香港側にあるとされております。そこで、五月下旬、香港ドラゴン航空社長あてに知事親書を送付いたしまして熊本への乗り入れを要請するとともに、去る六月八日に副知事を団長として、交通通信対策特別委員会正副委員長経済界代表が香港政庁、ドラゴン航空本社などを訪問いたしました。 香港政庁、航空会社に対しましては、乗り入れ候補地となっている九州各県との比較におきまして、人口、県民所得、交通アクセスなどの面で、熊本県が市場としての優位にあることを説明いたすとともに、熊本─香港線開設の要請を行ったところであります。それに対しまして、ドラゴン航空側からは、日本への乗り入れ地点の最終決定はあくまで商業ベースで判断するとし、いずれ社長が熊本を訪問したいとの回答を行うとともに、熊本空港における税関、出入国管理、検疫などの諸施設、諸機能の改善を強く要請いたしておりました。 乗り入れ地点の決定は、ドラゴン航空が実施する市場調査の結果にゆだねられるものと考えておりますが、調査の一環といたしまして、先週ドラゴン航空社長が長崎を訪問したと聞いております。 熊本空港の国際線の振興を図っていく上で、当面ソウル線の拡充と香港線の開設が重要であると判断いたしておりますが、いずれも難しい状況にあることも事実でありまして、引き続き一層の努力をしてまいることといたしております。  〔小早川宗一郎君登壇〕 ◆(小早川宗一郎君) 御答弁ありがとうございました。 国際エアカーゴ基地については少しは望みがあるかなあと思いますが、国際線の振興については、新幹線同様に、鹿児島に先を越されたり、長崎にまた越されるんじゃないかなあというような危惧の念を持っておりますので、大変御苦労多いと思いますが、執行部挙げてひとつ積極的に取り組んでいただきたいと思います。 次に、八代・天草架橋構想の取り組みについてお伺いをいたします。 六十二年十二月、県南振興議員連盟が発足し、髙田昭二郎会長の就任が決定し、その後、県南地域四十一市町村で構成する八代・天草架橋建設促進期成会が発足するなど、地元住民の架橋建設に寄せる期待は大きなものがございます。八代では、来る七月二十八日、八代地先の三ツ島海上で、大々的に花火大会、舟出浮観光等一大イベントが計画をされ、架橋実現の運動にも結びつけたいとの願いも込められております。これは、地元の八代青年会議所、八代経済同友会、八代漁協の協賛によるものでございますが、その成果が大いに期待をされるところであります。 私を含め、地元関係議員の要望、質問を合計をしてみますと、今回が九回目の質問になるわけでございます。あきらめず粘り強くお願いを続けてまいりたいと思いますが、毎回毎回で知事も前向きな答弁になるようにと御苦労も多かろうと思いますが、御見解をお伺いしてみたいと思います。 余談でございますが、先般八浪政調会長から呼ばれまして、今回の一般質問、どういうことをされますかということでございましたので、テーマをいろいろお話しをして、実はこの八代・天草架橋をやりたいけれども、もうしょっちゅうやってるから知事も御迷惑だろうからどうしようかなと思っておりますと、こういう話をいたしましたら、八浪政調会長いわく、それは金は幾らぐらいかかっとですかと、こういうことでございました。大体一千八百億から二千億かかるんじゃなかろうかと申し上げましたら、ああそんくらいだったらそれは目じゃなかですばい、そら日本一の知事は、そんくらいに全然びびる知事じゃありまっせん、本四架橋は三つで三兆五千億、一つで大体一兆一千五百億前後ですから、それは目じゃなかけんどんどんやんなっせと、こういうこともございました。 それと、今この八代・天草架橋よりも三県架橋の方が今先行しているようです。ところが、よく考えてみますと、これも知恵者の長崎県と鹿児島県が、観光ルートを結びつけようということで一番近い距離を選定をした。それが天草に橋をかけた方がいいというもくろみもあったんではなかろうかと思います。恐らく天草地域には橋がかかっても経済効果、メリットというのはあんまりなくて、ほとんど一泊どまりの客は長崎もしくは鹿児島というふうになると思いますので、あんまり両県に乗せられないようにして、こっちの方が、やっぱり九十分構想というのが先でございますので、ぜひひとつ早目に実現をお願いをしたいと思います。  〔知事細川護熙君登壇〕 ◎知事(細川護熙君) 県では、昨年度御承知のようにこの地域の社会経済情勢あるいは交通現況などについて調査研究をしたところでございます。 この構想につきましては、財源問題を初め、今お話がございました三県架橋など他の架橋との関連で課題もいろいろ抱えておりますが、地元で構想推進の機運が高いことはよく承知をしておりますし、県としては、県南地域の振興を図る上での将来構想の一つとして、本年度も引き続き基礎的な可能性調査を長期的な視点に立って進めてまいりたいというふうに思っております。  〔小早川宗一郎君登壇〕 ◆(小早川宗一郎君) 御答弁ありがとうございました。 二千億にしては非常に簡単な答弁だったと思いますが、一生懸命頑張っていただくようにお願いをしたいと思います。 次に、学校教育についてお伺いをいたします。 まず最初に、日の丸、君が代義務化の現状についてお伺いをいたします。 文部省の新学習指導要領による日の丸掲揚、君が代斉唱が義務化されて初めての公立小中高校の入学式が四月中に全部終了いたしました。新聞報道等によれば、九州各県教育委員会がまとめた結果は、佐賀、長崎など五県が、日の丸、君が代とも完全実施だったとするなど、各県とも実施率は大きく上回っております。各県教育委員会によると、日の丸、君が代とも完全実施だったのは、佐賀、長崎、熊本、宮崎、鹿児島の五県、福岡の小中学校は、君が代の実施率が昨年よりも一〇%余り上昇し、日の丸並みの率になっております。また、大分県でも最低八〇%以上になると見られ、九州全域で高い率となってまいりました。また、式自体が開けなかったり中断するような表立ったトラブル、混乱は全くありませんでした。女子児童が君が代をピアノ演奏したことで教組側が問題があるとした宮崎県の例や、君が代は入学式にふさわしくないと校長みずからの判断で取り入れなかった大分県。私が教育長であれば、こういう校長は即、首でございます。テープでメロディーだけを流す福岡市、久留米市など、さまざまな状況が出ております。 入学式に出席した父母の間には、「『国歌斉唱、一同起立』の掛け声が号令のようで」非常に「嫌だった」と、これは北九州市の小倉区の──これはアンケートをいろいろ見たんですが、三十六歳の主婦。私などは身が引き締まる思いがいたしますが、随分やっぱり違うなあと思います。「国歌の歌詞さえ知らないようでは、国際的な場で恥ずかしいのでは」ないでしょうかという、同じ小倉ですけれども、やっぱり四十歳の自営業の男性。受けとめ方もさまざまでございます。 都道府県教育委員会で、学校現場や市町村教育委員会に何らかの指導を行ったのは約三分の一。教組などによる反対運動の根深いところでは、文書配布や校長会を開くなどして徹底を期したということでございます。東京都は、区市町村教育委員会や都立高等学校校長に文書を配布した。内容は「掲揚、斉唱は校長を中心に教職員の共通理解と協力で行うが、実施が困難な場合は校長の責任で実施する」というもので、校長に完全実施を求める厳しいものになっております。 これは、日本教育研究会というところが発行している教育ニュース、この中にいろいろ四十七都道府県の対応がいろいろ書いてあるわけですけれども、やっぱり教組の強い北海道なんかは、今移行措置を通知をして反対の対応策を検討中とか、岩手、栃木、こういうのはもう以前から一〇〇%実施しているとか、いろいろ書いてあります。 我が熊本県の例は、これによりますと「教育課程講習会、指導主事会議で指導」となっているが、実施状況はどうなっておるのか。また、学校現場、父母、生徒の反応はどうであったか。教育長にお伺いをしたいと思います。 次に、登校拒否児童生徒対策についてお伺いをいたします。 現在、国際化、情報化が物すごい勢いで進む中で、常にグローバルな視点が求められる一方、それぞれの国や地域の歴史、文化を大切に育てることが強く求められる時代となってまいりました。このような情勢の中で、本県が二十一世紀へ向けて大きく飛躍するためには、これからの社会を切り開くことのできる創造性に富み、心身ともに健康で豊かな人間性とたくましい実践力を身につけた子供たちの育成に万全を期すことが何より重要であります。このため、本県では、次代を「担う子供や若者たちが熊本に生まれ育ったことを誇りにし、」その才能を十分に発揮できるよう「学校、家庭、地域社会」が十分「チームワークを保ちながら、」再び有為の人材を輩出する「新しい教育県・熊本をめざします。」こういうふうに格調高く新教育立県へのビジョンをうたい上げておられます。まことに頼もしい限りでございます。しかし、教育現場はどうなっておりますでしょうか。明るい学校どころか、学校嫌いの子供たちが年々ふえ続けており、登校拒否に発展しております。 昭和六十三年度、全国では、学校嫌いを理由に年間五十日以上欠席した小学生は六千二百八十五人、中学生は何と三万六千百人、過去最悪の、合計をいたしますと四万二千人以上を超え、この十年間で三倍以上に急増をいたしております。本県の公立小中学校においても、昭和六十二年度は、小学生三十二人、中学生二百二十二人、昭和六十三年度は、小学生五十八人、中学生二百六十五人と、いずれも増加をいたしております。本県の中途退学者率、これは在籍者数に対する中退者数の占める割合ということになっておりますが、昭和六十三年度一・五%と全国平均を下回っておりますものの、徐々に増加傾向にあり全国平均に近づいております。 これまでの問題行動等への対応といった生徒指導から、生徒の豊かな人格の発達を促進し、問題行動等を未然に防止する生徒指導への転換を図るため、平成元年度から不登校等対策会議を設置するとなっておりますが、その第一回の会合が五月の十四日県庁で開かれ、委員長に鈴木康平熊大教育学部教授が就任をされたと新聞報道で読ましていただきました。長崎では登校拒否児らを対象に、制服、体罰、相対評価なしの自由学園リベルテを開設し、管理教育に背を向ける子供が増加する中で、どんな教育効果を発揮するのか、県民が注視をしているところであります。 いろいろこのリベルテの内容を読んでみました。しかし、私は、この学園の趣旨にはいささか疑問を持っておりますが、それは後日またいろいろの機会に譲るといたしまして、特に学校生活での影響を見ると、小学生では、いじめ、けんかなどの友人関係をめぐる問題、成績不振、授業がわからない、試験が嫌いなどの学業の不振となっております。これらの理由から年々増加していく登校拒否の小中学生の対策をどのように考えておられるのか、お伺いいたします。 次に、生徒数の減少時代を迎えつつある今日についてお伺いをしてみたいと思います。 本県の平成元年五月一日現在の学校数、児童生徒数は、公立の小学校五百五十九校、中学校二百八校、高等学校六十四校、特殊教育諸学校十七校となっており、私立では中学校六校、高等学校二十二校、国立で小学校、中学校、養護学校がそれぞれ一校となっております。公立学校の児童生徒数は、小学校十五万百四十五人、中学校八万八百二十人、高等学校五万四千六百七十五人、特殊教育諸学校千五十八人となっております。私立学校の生徒数は、中学校千八十二人、高等学校二万三千九百八十九人、国立学校の児童生徒数は、小学校七百十八人、中学校五百四人、特殊教育諸学校七十二人となっております。 本県の中学校卒業者の推移は、昭和三十九年三月の五万一千九百四十人をピークに年々減少し始め、昭和六十二年から一時増加に転じたものの、平成元年三月には二万八千七百五十九人という第二のピークを迎えました。しかし、平成二年以降再び減少傾向となり、平成元年の中学校卒業者数に比べ、平成五年には約二千七百人、平成十年には約四千八百人の減少が見込まれております。これは普通規模校の十校分の減少に匹敵するものであります。平成十年には、熊本市を中心とする熊飽学区では二千三百人と最も減少し、八代・芦北学区で約七百人、天草学区が約六百人の減少となります。この減少で直接影響を受けるのが私立高等学校の生徒減少であろうと思います。早い話が、経営の行き詰まりやら学校運営ができなくなる学校が出始めるわけであります。 他方、熊本市内の一部の地域では、今少しずつふえているからということで、新設校を設置すべきだとの意見も一部にありますが、将来を眺めてリスクが大きく、私に言わせると、大変むだだなあと思われる投資はやめた方がいいんじゃないかと思います。生徒の減少により、月謝等の高い私立より定員割れの公立だけに生徒が集中すると思われるからであります。私立も、今までのような公立に不合格の生徒を受け入れる学校といったような一部の人に今なお根深く残る概念を捨て、特色ある学校運営をされるべきであるし、また、公立だけに偏らないようにも工夫を凝らしたり、公立、私立共存共栄の道を探るべき時代が間もなく到来をするわけであります。 この減少傾向は全国的なもので、各県でもその対応が大きな課題となってまいりました。今後の対策についてどのようなお考えをお持ちなのか、お伺いをしてみたいと思います。 最後になりますが、初任者研修の実績についてお伺いをいたします。 学校教育の成否は、児童生徒の教育に携わる教員の資質、能力に負うところが極めて大きいものであります。そのためにも、県としては、教員としての資質と指導力を高めるため、さまざまな研修を行っておられます。この初任者研修は、昭和六十二年度から試行され、平成元年度から小学校、平成二年度から中学校、平成三年度から高等学校の新任全教員がこの研修を受けることになっております。平成元年度の実施結果と二年度の状況につき、お伺いをいたしたいと思います。  〔教育長松村敏人君登壇〕 ◎教育長(松村敏人君) まず、日の丸掲揚、君が代斉唱につきましては、これまでも指導を行ってきたところでございますが、今回の指導要領の改訂に伴いまして、さらに指導要領の趣旨の周知徹底を図ったところでございます。その結果、平成二年度の入学式では、すべての県下の市町村立学校及び県立学校で国旗が掲揚され国歌が斉唱されまして、整然とした入学式が挙行されたと報告を受けております。今後とも国旗、国歌に対する正しい理解と認識が醸成されますよう努力してまいりたいと存じます。 第二は、児童生徒の登校拒否問題でございますが、御指摘のとおり、本県の概況も全国と同様、登校拒否の児童生徒が近年増加の傾向にございまして、教育上の重要な課題と受けとめております。これまで、子供との触れ合いの時間の確保、わかる授業の推進、家庭や関係諸機関との連携強化等を積極的に指導してきたところでございます。さらに本年度は、お話にございましたように、新規事業といたしまして新たに不登校等対策会議の設置もいたしておりますので、その御意見もいただきながら、プロジェクトチームによる巡回相談の実施、啓発資料の作成等、その対応を積極的に講じていきたいと存じております。 第三番目は、生徒数の減少時代を迎えて、その対応についてのお尋ねでございましたが、御指摘のように、本年三月の中学校卒業者から減少期に入りまして、昨年と比較すると五百八十八人が減少いたしておりまして、県立高校の入学願書締め切りの時点で、募集定員を割った学校が昨年に比べまして二十六校と倍増したところでございまして、生徒減少期への対応は、今後の高等学校教育における緊急な課題でございます。昨年度から県立学校教育整備協議会を設置をいたしまして御意見を聞くなど、その検討を急いでいるところでございます。 基本的には、生徒の減少が全県的なものでありますことから、学校によっては学級減や統廃合などによって活性化を図らなければならない状況も予想されるわけでございまして、これを今後どのように進めていくかは、同協議会の協議の結果なども踏まえまして、具体的な検討を進めてまいりたいと存じております。また、公立学校と私立高校との問題につきましては、公私立高等学校連絡協議会の中で協議しながら対応してまいりたいと存じます。 最後に、初任者研修の実施についてでございますが、平成元年度の初任者研修は、小学校においては本格実施、中学校及び県立学校におきましては新規採用の一部教員を対象に試行を実施をいたしました。研修の結果は、教育公務員としての使命感や実践的指導力、さらには、広い知見を確実に身につけてきているし、そのほか副次的な成果として、校内の研修及び諸教育活動の活性化が見られるようになったとの報告を受けております。 平成二年度は、小学校、中学校で本格実施、県立学校におきまして、試行といたしまして一部の新規教員を対象に実施をしているところでございますが、さらにその充実に努めたいと存じております。  〔小早川宗一郎君登壇〕 ◆(小早川宗一郎君) 御答弁ありがとうございました。 教育委員会は、毅然たる態度で堂々と教育の指導に当たっていただきたいと思います。 次に、イ業の振興についてお尋ねをいたします。 本県のイ業は、八代地域を中心といたしまして、元年産作付面積六千六百三十ヘクタール、生産量七万五千八百トンと面積、生産量とも全国シェアの八〇%に達し、昭和四十三年から引き続き日本一の産地となり、全国に揺るぎない地位を確保いたしております。また、本県農業粗生産額の一〇・四%を占め、四百十七億円を上げる基幹産業でもあります。しかし、最近のイ業情勢を見ますと、近年、外国産イグサ、畳表の輸入が急増しており、六十三年、元年とも約一万八千トン程度に達し、これは国内生産量の約二〇%に相当する量が輸入をされているわけであります。特に最近の輸入で注目すべきことは、ござ類、イグサが大幅に減少したのに対し、畳表の輸入が急増いたしております。中国からは実に前年の二倍以上に達し、輸入の主体が畳表に絞られておりまして、本県イ業への影響を非常に心配をいたしております。 御案内のように、中国は、広大な面積と豊富で低廉な労働力があり、これまでも生産団体等で現地調査がなされたわけでございますが、その詳細は企業秘密ということで教えてくれないということで、なかなか対応が難しく、本県にとって最大の競争相手になってきたと思われるわけであります。一方、国内生産量は、ここ四、五年全国レベルで八万トン台で推移をしておりましたが、平成元年度の国内生産量は九万五千トンと前年を一万トン以上上回る大幅な伸びを示し、輸入量と国内生産量を合わせた供給量は十一万三千トンとなり、需要量の約十万トンを相当上回る供給過剰の厳しい状況にあるかと思われます。 このようなことから、ここ数年、比較的に堅調で推移しておりましたイグサ、畳表の価格が昨年の九月ごろから弱含みで推移し、イグサの年間平均単価はキログラム当たり四百九円で前年比九〇・一%、畳表の一枚当たり年間平均単価は千二百十九円で前年比九三・七%となっております。とりわけ今年二月以降においては低落が著しく、イグサで前年比六四%、畳表で前年比七五%まで落ち込み、非常に厳しい状況になっております。そこで、先般四月二日には、生産者団体と生産農家約二千五百名が参加したい業危機生産者総決起大会において、生産者総意のもとに、イグサ、畳表を一週間出荷停止して価格の回復を図る措置が決定をされ実行されたにもかかわらず依然回復の兆しは見出しておりません。 八代郡の両県議初め私もイ業振興議員団のお世話役ということで、この日に出席をいたしました。松橋からはわざわざ鬼海先生までお見えになっておりましたが、後で聞いた話ですけれども、出荷停止一週間の中で、やっぱり生産者で抜け駆けをして消費者に売ったという人がおった、そのためにいっちょん価格は上がらぬだった、もう生産者も非常にこれは考えてもらわにゃいかぬ。非常に私も腹立たしく思うわけでございます。 これまで、集落座談会等でも、生産者から、住環境の洋風化による需要の停滞や中国等からの輸入問題、国内における産地間競争の激化など、これまで以上に関心が寄せられ、さらにこの先行きに相当不安を抱いております。 何と申しましても、本県のイ業は地域の基幹産業でありますし、私は、今後とも恒久的な発展を図るには、内外の産地間競争に積極果敢に立ち向かい、競争力の強化と思い切った産地の体質強化を図っていくことが非常に重要になってきていると思います。これに関連して、具体的な二、三の課題について農政部長にお尋ねをしたいと思います。 まず第一点は、需要に見合った生産振興であります。先ほど申し上げましたように、外国産イグサ、畳表の急増や、また国内生産量も、ここ数年堅調な国内価格に支えられ、大幅に増加して需給のアンバランスを来し、価格面への影響があらわれたわけですから、今後のイグサ、畳表価格の恒久的安定を図るためには、これは生産者、生産団体自身の課題にもなりますが、需要に見合った生産振興、需給バランスを考慮した生産対策の必要性があるのではないかと思っております。このことについてどうお考えなのか、お尋ねをいたします。 第二点は、品質向上についてでありますが、銘柄品の備後表は、今日の状況にあってもその大部分が依然高価格で安定した取引が行われております。これは、高い技術水準と生産責任意識に支えられ、付加価値の高い銘柄品として市場の評価が高いからであります。したがいまして、これからは、つくれば売れるという意識を変えて、イグサ、畳表の品質をより一層高めること、つまり生産段階から加工すべてにわたり商品意識を持って生産することが最も重要であると思っておりますが、県はイグサ、畳表の品質向上対策にいかに取り組んでおられるのか、お尋ねをいたします。 第三点は、コストの低下対策であります。輸入品に対し、また、国内における産地間競争に打ちかっていく上からも、コスト低下は戦略的命題でもあります。最近低下傾向にあった生産費も、平成元年度は十アール当たり四十六万一千四百五十円、前年比一〇三・五%となっております。その内容を見ますと、依然として労働費の割合が四〇%と高い割合を占め、中でもイグサの植えつけは人手によって行われておりますが、重労働で、しかもその多くを雇用に頼っており、近年雇用事情の高齢化や労賃の高騰、逼迫を考えますときに、現在研究開発中でありますイグサ移植機の実用化によって、コストの低減と省力化が図れるものと大変期待をいたしております。もちろん導入に際しましては、経営規模等考慮し過剰投資にならないようにする必要がありますが、現在の開発状況と今後の見通しについてお尋ねをいたします。 最後に、イグサ・イ製品の需要拡大についての要望でありますが、現在の畳需要の大半は新築住宅への需要でありますが、潜在的には相当量の張りかえ需要がありますので、これを喚起するための消費者への積極的なPRが必要でありましょうし、また、全国の設計・建築業界等に対しましても、畳やイ製品の需要を啓発するカタログを配布するなどの宣伝活動も必要でありましょう。さらに、畳表以外の用途開発、つまり多面的利用を目指した新製品の開発など、需要の拡大について積極的な努力を特に要望をしておきたいと思います。  〔農政部長木村剛勝君登壇〕 ◎農政部長(木村剛勝君) イ業振興についてのお尋ねでございますが、平成元年度の一枚当たり畳表平均価格は、八月の千四百十四円の高値から平成二年三月の九百四十七円の安値まで四百六十七円と、率にして三三%下落しております。 この価格低落の原因は、ここ数年、円高や国内価格が堅調を続けたことから、輸入畳表が予想を超えて増加し、平成元年度におきましては前年比八〇%増の約一万二千トンが輸入されております。この輸入畳表の価格は、中国産で一枚四百三十円程度と本県の平均価格千二百十九円の三五%と極めて低く、加えて国内生産量と合わせた供給総量は、需要に対し約一万三千トンの供給過剰となったことが市場における価格形成に大きく影響し、現状のような市場を混乱させる引き金になったと理解しております。 このような状況下で、イ業農家の経営安定を図るためには、需要動向に即したきめ細かな生産、出荷の対応が必要であると考えております。そこで、需要に見合った生産振興として、供給調整と品質向上の両面から、生産量の約一〇%に当たる九十七センチ未満の短いイグサの廃棄が徹底するよう、生産者、関係団体に指導してまいりたいと存じます。 品質向上対策については、本年度から変色イが少ない品質のすぐれた本県育成品種・しらぬいを導入し、平成四年度までに一千ヘクタールに拡大、普及することとしております。このしらぬいは、七月十日以降の晩刈りに適するため、従来の品種との組み合わせにより、労力の適正配分が可能となり、適期刈りによる品質向上が期待できます。加工面では、本年度から新たに畳表銘柄確立対策事業に取り組み、くまもと畳表のブランド化を一層推進することとしております。具体的には、八月以降、モデル農家九十戸百八十人を対象に、製織、仕上げなど加工研修を三カ年計画で実施し、これらの農家を核に技術水準の向上を図ってまいりたいと存じます。 いずれにいたしましても、内外の産地間競争が激化する中で、本県イ業が生き残れるためには、まず生産者みずからが、つくれば売れるから、良質のものしか売れないという意識への転換が最も重要だと考えております。 また、畳表の市場評価を高めるため検査機器の開発を進めておりますが、本年度中には、実用化に必要な規格、品質の両面の検査機能の改良を行い、平成二年度には試作機が実働できる予定であります。 コスト低下対策といたしましては、平成二年度を目途にイグサ移植機の実用化を進めております。移植機を利用した場合、十アール当たり植えつけ時間は手植えの七十九時間から二十三時間程度の三分の一に短縮され、金額で二万円程度のコスト低減が期待されます。なお、普及を図る段階では、国に対しまして農業改良資金の融資対象となるよう要望してまいりたいと存じます。  〔小早川宗一郎君登壇〕 ◆(小早川宗一郎君) 御答弁ありがとうございました。 特に農政部におかれましては、生産農家の意識改革、これを力強くひとつ指導をしていただきたいと思います。 次に、八代市の活性化対策についてお伺いをいたします。 御存じのとおり、八代市は県下第二の都市であり、かつては県内最大の工業都市として発展をしてまいりました。しかし、近年の産業構造の変化に伴い、市の基幹産業である工業の不振、加えて都市基盤整備のおくれから都市機能の低下を招いてきたところであります。 八代市の活性化は、ひとり八代市だけの問題にとどまらず、県南地域の振興に及ぼす影響も大きく、県土の均衡ある発展を図る上からも県政の重要な課題となってきたところであります。昭和六十三年四月に、知事は、十項目に及ぶ八代市の活性化対策を発表いただきました。それぞれの活性化対策が着実に実行に移され、最近は地元に活気が戻ったという実感がしているところでございます。特に、八代臨海工業用地の活用策として、知事みずからその陣頭に立って尽力をいただいたヤマハの工場誘致では、地元産業界、市民こぞってその朗報に沸いたところでございます。最終的には、出荷額二百億円、雇用人員千名という大型企業の立地であり、雇用面、経済面で今後地元に及ぼす波及効果を大いに期待をしているところでございます。知事の御尽力には、八代市民を代表して本席をかりて厚く御礼を申し上げたいと思います。 また、六十三年十月二十三日から三十日まで、八代市において第一回県民文化祭が開催をされました。生活文化、美術、演劇等に市民規模での数多くのイベントが実施され、成功裏に終わったわけでありますが、県民文化祭を成功裏に導きましたのは、地元市民の、このままでは八代市はだめになる、八代市の発展は市民一人一人の活動にかかっているという市民の熱き思いであったと思います。その思いは、タウンギャラリー、薪能、野外造形祭等、市民みずからが知恵を絞った企画となって形をあらわしてまいりました。この県民文化祭を境に、若い人たちを中心に市民の間に、八代市の将来はおれたちが担っている、今から頑張ろうというような、八代市の活性化における市民の責任の自覚の高まりをひしひしと感じるようになってまいりました。 平成元年六月、八代市のまちづくりをテーマにシンポジウムが開催をされ、私も出席をいたしましたが、平日であったにもかかわらず五百名程度の市民が参加をされ、熱心に討論をされる様子を見て、八代の将来に明るい希望を見た思いがいたしました。こうした市民の意識の高まりの中、今こそ行政と市民が一体となって八代の将来の礎をつくるときだと思います。 県としては、さきの活性化プロジェクトを市と一体となって着実に実施していただきたいと思います。特に、八代臨港線、県南運動公園、定住拠点緊急整備事業、いわゆるレインボー計画、南九州西回り自動車道、八代市の発展を考えますときに、ぜひ不可欠であり、その一日も早い完成を望むものであります。それぞれの事業の進捗と今後の見通しについてお伺いをしたいと思います。具体的にお答えをいただきたいと思います。  〔土木部長杉浦健次君登壇〕 ◎土木部長(杉浦健次君) お話のございました四つの事業は、いずれも地域の重要なプロジェクトと認識しております。積極的に取り組んでいる所存でございます。 まず、八代臨港線の整備計画でございますが、この路線は県の重要路線として位置づけておりまして、これまで整備促進に努めてまいりました。現在街路事業及び道路改良事業で促進を図っているところでございます。また、街路事業の区間は八代市の事業と県の事業に区分いたしまして調整を図りながら進めております。昨年度は、国道三号線に接続する区間の八百二十五メートルの用地取得にかかりましたため、全線にわたりまして事業に着手したことになります。現在、全延長の八千六百五十メートルのうち千四百二十メートルを供用しておりますが、本年度は、JR鹿児島本線と立体交差する区間の六百六十五メートル及び主要地方道八代鏡宇土線に接続する区間の五百二十メートルを完成させる予定でございます。また、残ります区間につきましても、平成七年度全線開通に向けまして努力しているところでございますが、今後とも、八代市と緊密な連携を図り、地元の御理解、御協力をいただきながら、用地取得、工事の促進に努め、一日も早い開通に向けまして全力を注いでまいりたいと考えております。 県南運動公園の整備状況のことでございますが、本事業は、六十三年度に都市公園整備事業として着手をいたしました。平成元年度までには用地の取得を終わっておりまして、一部造成工事に入ったところでございます。今年度からは特に御要望の高い野球場の建設に着手することといたしておりまして、平成三年度には完成させたいと考えております。残ります他の施設につきましても順次整備をしていく計画でございまして、平成六年度の全体完成を目指して事業を進展中でございます。 次に、旧球磨川駅地区定住拠点緊急整備事業、いわゆるレインボープロジェクトでございますが、御案内のとおり、この旧球磨川駅跡地の開発につきましては、昭和六十一年度から、国、県、市を初め学識経験者、国鉄清算事業団などをメンバーといたしまして検討を重ねてまいりました。具体的には、旧球磨川駅跡地及びその周辺市街地を含めた土地区画整理事業を実施し、また、既存の商店街と連携を図ることによりまして八代中心街の活性化を進めようとするものでございます。現在、市におかれまして駅跡地に設置する中核施設の構想を練っておられるところでございます。今後市とともに事業の円滑な推進に努めてまいりたいと考えております。 もう一つ、南九州西回り自動車道についてでございますが、現在、国におきまして、八代日奈久道路の約十三キロにおいて、路線の調査、測量、設計、用地取得が進められておりまして、日奈久地区におきましては、本線の土工や高架橋の下部工事の一部が施行中でございます。 なお、地元の御関心の高い八代南インターチェンジにつきましては、八代市の南部の発展と国道三号との交通連結を考えますと、現在の位置が最適というふうに考えております。地権者、地域関係者の御協力、御理解をいただきまして、県といたしましても事業の早期進展が図られますように国に支援をしてまいりたいと考えております。  〔小早川宗一郎君登壇〕 ◆(小早川宗一郎君) 御答弁ありがとうございました。 このレインボー計画、県は直接関係ないようですけれども、大体事業費は百六十数億というふうにも聞いておりますので、これは八代市だけでこの事業遂行大丈夫かなあという気もいたします。県あたりも積極的に関与していただいて指導していただかないと、なかなか思うようにいかないんじゃなかろうかという危惧を持っておりますので、よろしくお願いしたいと思いますが、また、南九州西回り自動車道も、今おっしゃいましたインターチェンジ周辺については、優良農地であるがゆえに農地は譲らぬと、こういう意見がたくさんあるようでございますので、そこら辺も積極的に地権者との話し合いの場を持つように八代市あたりにもぜひ指導を賜りたいと思います。 次に、文化振興について二点お伺いをしてみたいと思います。 細川知事を先頭に、本県ではこれまで緑豊かな環境の中で、知的で創造的な生活が営まれる魅力ある田園文化圏の創造を目指し、各種の施策を積極的に推進をしてこられました。何らかの形で県民大多数がその恩恵を享受していることもまた事実でございます。本県文化行政の行動指針として策定された熊本県文化振興基本方針は、あすの熊本文化を創造する指針になり得ると思います。 私も今月八日、委員長職のゆえをもって第一回熊本県文化振興審議会に出席をさせていただき、各委員からいろいろの御意見を拝聴する機会を得ました。文化とは余り縁のない私も少しは文化の雰囲気に浸りましたが、魅力ある田園文化圏の創造を目指す中に五つの理念が盛り込まれております。すなわち「地域化の推進」「国際化の推進」「自然との調和」「交流と連帯」「次代への継承」ということになっております。文化とは、間口が広くてとらえにくい反面、自分たちの身辺にまた無限に存在するものでもあります。ここでは、文化活動の支援と連携づくりについて質問をしてみたいと思います。 今年度の予算の中で、県立文化施設自主事業として二億三千四十三万円が計上されております。内容は、県立六文化施設においてそれぞれの館の特性を生かした自主文化事業を行うということで、県立劇場、県立美術館、県立図書館、近代文学館、伝統工芸館、アスペクタの六文化施設であります。アスペクタを除きますとすべて熊本市に集中し、知事が日ごろ批判をされている東京一極集中の熊本版と皮肉を言わざるを得ません。八代の住人として大変うらやましい限りです。市町村文化振興施策に対する支援も明記されておりますので、市町村文化施設の自主事業に対しても県の助成等考えられないものか、お伺いをしてみたいと思います。 次に、古墳の森、これは今までは風土記の丘というふうにもおっしゃっておりましたが、名前をお変えになったということで、古墳の森整備事業の一環として県立資料館の建設が予定をされておりますが、くまもとアートポリス参加作品として、有名な安藤忠雄氏に設計が委託されていると聞いております。美術館分館の改築についてもアートポリス参加作品ということで、これも有名建築家に依頼すると聞いております。後世に残る文化資産として遺産的建物をつくることはまことに結構でございます。しかし、有名人に頼ると確かにいいものはできるかもしれませんが、場合によっては、きのうも質問に出ましたように、保田窪第一団地みたいに入居者の人たちから、住む人のための建物になっていないなどの苦情が住宅課に来ているとも言われ、また新聞紙上にも取り上げられ、本来入居者より感謝されるべきことが恨まれるようでは執行部もこれはたまったものじゃないと思います。 私、この質問をしようかなあと思いまして、やめたんですけれども、どういう理念であの団地はつくったんですかと質問をしたら、これはつくった人が「保田窪第一団地の計画について」という、自分の理念というんですか、建築に携わったいきさつ等いろいろ書いてあるわけですが、わかったようなわからぬようなことがずっと書いてあるわけです。最後にこういうことを書いてございました。  〝共に住む〟ことは確かに煩わしいことだと思いますが、でも、ただその煩わしさを解消するだけで十分であるとは思えません。煩わしさを解消し、それ以上に〝共に住む〟ことが、孤立的に密室の中に住むよりもはるかに有効なことだと思えるような、そんな配置計画、住棟計画こそ今、求められているものだと思うのです。 〝共に住む〟ことは、今、都市の中では不可避です。避けられませんということです。しかし、未だにそのためのモデルが明瞭になっていません。それこそが私たちの課題ではないかと思っています。これは自分の理想のモデルをつくったということですけれども、住む人にとっては大迷惑な点がいっぱいあるわけです。 これは、私が入手した、これも恐らく建築会社あたりから出たんじゃなかろうかと思いますが、いっぱいメリット、デメリットというのが書いてあるわけですけれども、細かいところでは「襖の上の欄間部分がオープン」。昔、私が住んでいる古い家なんかは、ふすまの上はオープンですから、もう光が漏れたり話し声が漏れたりするわけですが、そういうふうに全部この住宅はつくってあるわけです、昔の郷愁かどうか知りませんが。「音・灯りがもれ、プライバシーが守れないし、冷暖房が」非常にコスト高になるとか、「総合」として「臨時的に古倉庫を住まいに改造した雰囲気で、家庭がまったくく感じられない。」これは恐らく専門家がお書きになったんだろうと思います。こういうことが書いてあります。 訂正することにはばかることなかれ、こういうことで、やっぱり地域住民の意思を十分尊重して、私は住まいというのは、やっぱりプライバシーを守るところ、家庭のプライバシーを守るところ。ある人がおっしゃったわけですけれども、ふろに入りに行くのに洋服着てふろに入りに行かにゃいかぬと。で、ある人いわく、のぞきの非常に趣味な人は非常に喜ばすぞとか、いろいろうわさが出ておりますので、地域住民とよく相談してやっていただきたいというふうに思います。 話を戻しますが、古墳の森の総事業費十七億五千三百三十六万円、そのうち県立資料館建設費として十四億二千三百七十四万六千円が計上されております。せっかく整備する以上は、たくさんの人が見学に来るような施設をつくり、地域活性化の起爆剤になり大きな経済効果をもたらすように努力してもらいたいと思います。 先般見学しました吉野ヶ里遺跡、年間で何と二百五十万来るそうです。雨の日でございましたが、駐車場が少なく河川敷に二十数台の大型バスがとまって、小中学校、高校の観光コースに組み入れられているということで、周囲の経済効果は一日約六千五百名から七千名ということです。すばらしいこの遺跡の見学地になっているわけです。 私が申し上げたくらいの意気込みで取り組んでもらいたいと思いますが、資料館建設の概要等、推進に当たっての教育長のお考えをお伺いしてみたいと思います。  〔企画開発部長飯原一樹君登壇〕 ◎企画開発部長(飯原一樹君) 市町村文化施設の自主事業に対する助成など、市町村文化振興施策に対する支援についてのお尋ねでございますが、文化の振興のため行政のなすべき役割は、何よりもできるだけ多くの県民の方々が文化に関する諸活動に親しみ、参加できるような機会や場を提供していくことであると認識いたしております。そのため、県といたしましては、お話しの県立文化施設での自主文化事業のほか、県民文化祭や県立美術館の巡回展、さらには、音楽や演劇などの舞台芸術の鑑賞機会を提供する移動芸術祭を実施するとともに、県文化協会から市町村の文化祭や公演事業への支援を行うなど、市町村の文化振興のための種々の事業を実施しているところでございます。 今年度は、さらにその強化を図るため、新たに県立劇場を主体とした文化施設ネットワーク事業を設け、三つの団体の公演を七つの文化施設において実施する予定であります。この事業は、市町村文化施設の規模に応じた公演を県が企画、招聘し、これを県と市町村が協同して実施しようとするものでございまして、これによって、市町村では低廉な費用で効率的な文化事業の実施が可能となり、また、県と市町村相互の連携の強化や市町村文化施設の企画運営能力の向上につながるものと期待しております。 また、今年度から市町村文化事業や施設運営に対する専門家による助言指導事業にも取り組むこととしておりますが、県では、こうした事業も含め、今後とも県と市町村の文化事業の連携を図るとともに、市町村の文化振興施策がより一層推進されるよう、必要な支援策の充実に努めていくことといたしております。  〔教育長松村敏人君登壇〕
    ◎教育長(松村敏人君) 古墳の森整備事業についてお答えいたします。 歴史資料館の建設位置は、鹿央町の岩原古墳群の隣接地でございまして、この地域は装飾古墳の分布が全国で最も濃密な地域でございます。資料館の内容といたしましては、装飾古墳をメーンテーマとした常設展示場、最新技術を駆使したイマジネーションホール、古代の体験ができる企画展示場などを配置した施設とし、また、形は前方後円墳をアレンジしたもので、建物自体が自然にマッチした展示品の一つであり、屋上のテラスからは岩原古墳群を展望できるように設計中でございまして、設計者とは私ども発注者の立場から十分に協議しながら進めているところでございます。この資料館が完成いたしますと、事業全体としても九〇%の進捗率となりまして、本県におきます古代歴史を探る文化ゾーンの中心的観光施設としても地域の活性化に貢献するものと期待をいたしております。  〔小早川宗一郎君登壇〕 ◆(小早川宗一郎君) 長時間にわたりまして、議員各位お疲れのところおつき合いをいただきまして大変ありがとうございました。知事初め教育長、執行部の皆さん方にも心からお礼を申し上げまして、私の質問を終わりたいと思います。 ありがとうございました。(拍手) ○議長(北里達之助君) 昼食のため午後一時まで休憩いたします。  午前十一時三十三分休憩      ───────○───────  午後一時二分開議 ○副議長(鏡昭二君) 休憩前に引き続き会議を開きます。 水田伸三君。  〔水田伸三君登壇〕(拍手) ◆(水田伸三君) 無所属の水田伸三でございます。久しぶりの登壇でございます。的外れの質問をするかもしれませんけれども、お許しをいただきたいと思います。 私は、今回質問をするに当たりまして、九州各県の知事さんたちが、各県議会に、または県民の皆さん方に、どんな提案理由の説明をされたかと思って全部知事の提案説明書を取り寄せてみました。厳しい財政の中ではありますけれども、各県とも意欲的に事業と取り組んでおられる姿がよくうかがえたわけであります。しかし私は、細川熊本県知事の提案理由の説明が一番立派であったと高く評価したいと思います。それは、提案理由の中に哲学があり、高い理念がありました。魅力ある田園文化圏の創造を提唱し、地球的視野で、そしてその観点からの発想とそして諸施策はお見事であります。 思い出しますが、昭和三十年から三期十二年お務めになりました寺本前知事が知事をおやめになるときに、我々政治家が常に考えておかなければならぬのは、後世の史家が判断するであろうということを念頭に置いて対応していかなきゃならぬということでありました。私は、今細川知事がハード、ソフト両面から取り組んでおられますその事業は、恐らく後世の皆さん方が、昭和の終わりから平成の初めにかけてお務めいただいた細川知事は実にすばらしい知事であったと褒めたたえるでありましょうし、また、ぜひ褒めたたえていただくような諸施策と取り組んでいただきたいと思うんです。 細川知事は、就任以来、県民の先頭に立って多くの県民の皆さん方と対話をし、そして本県の地域振興に御努力をいただいたわけであります。就任早々「熊本・明日へのシナリオ」を発表して、二十一世紀へ向けた熊本全体の行動指針、七つのくまもと像と二十一の戦略を明らかにされたところであります。また、明確な目標設定のために「一〇〇のターゲット」をお示しになり、わかりやすい県政として取り組まれたことなどは評価したいと思います。また、細川知事就任以来、サントリーや先ほどお話がありましたヤマハ発動機を初め全国のモデルとなっております熊本テクノポリス、あるいは緑の三倍増計画や文化振興基本条例の制定や景観条例の制定、それに地域の特性を生かした日本一づくりの運動などと取り組んでこられた、実に数多くの実績を残していただいたわけであります。 なお、細川知事は、全国の知事会を初めあらゆる会合で、権限の移譲、財源の再配分、補助金の見直しなど地方分権を強く主張されておりますが、このことについて私も全く同感であります。人も物も金も東京に集まっております。最大の原因は東京に権限と財源が集中しているからであります。このような厳しい財政の中ではありますが、高き理想を求め、豊かな住みよいふるさとを目指して、さらに前進、躍進する熊本になるように御努力を願いたいと思います。 知事が唱えておられることなどがおわかりいただいたのかどうかわかりませんが、昨日の新聞に「地方自治体に権限移譲を」と、小沢自民党幹事長が述べておられる記事が出てきました。小沢幹事長は、国と地方自治体の関係について、表向きは地方自治になっているが、実質的には自治の本当の意味の充実は図られていなかった。地方自治体は金も権限もない、また人もいないと指摘をして、市町村に対して身の回りのことは全部やれるように、お金も権限も全部出してやるということを思い切ってやらなければならぬと述べておりますが、党の幹部、そして与党の幹部がこのようなことを言われたということについては、地方自治、そして地方への権限移譲がなされるのではないか。いま一息、知事会等で、いろんな会合で御努力をいただきたいと思うんです。 私は、第一に、自分の意見も述べながら質問をいたしますが、県民所得の実態に対する認識についてであります。 知事就任以来の五年間の県民所得を調べてみました。昭和五十七年の県民所得は全国比で八六・三%であります。一人当たりの分配所得でいいますと百五十七万七千円です。五年後の六十二年度の県民所得は全国比で八七・五%、一人当たりの分配所得が百九十六万二千円であり、全国では二十九番目であります。 ちなみに、我が県は、面積は全国で十五番目、そして人口では二十二番目であります。なお、六十一年と六十二年度の伸び率は、全国の伸び率が五・九%あるんです。ところが、熊本県の伸び率は三・二%でありまして、四十七都道府県の中で四十三番目であります。 まあ田園文化圏の創造の理想像を描くということもわかります。それと同時に、県民の所得の伸びはこのようなものであり、その位置づけはそういうものだということを認識して、知事はどのように受けとめて今後どのようにしていったらいいとお考えになるのか、まずお聞かせをいただきたいと思います。 第二に、本県の産業構造のあり方でありますが、県民所得を向上させるためには産業構造の変化もまた必要ではなかろうかなと思うんです。したがって、来るべき二十一世紀に向けて、熊本県の産業構造のあるべき姿はこれでいいんだろうか、知事はどのようにお考えになっているか、お聞かせいただきたいと思います。 次に三番目です。県南地域の振興策についてでありますが、しばしばこの件については議員の先生方がお触れになりました。私は、これを市町村別の分配所得から取り上げてみたいと思います。県平均を一〇〇といたします。これはワースト五番を言いますから、そのワースト五番は気の毒ですから町村名は申し上げません。郡市ごとにどうなっておるかということを申し上げます。ワースト一位は──済みません。だれがどこどこというんじゃありませんから、客観的にとらえていただきたいと思います。芦北郡七〇・四三%、二番目、牛深市七二・四八%、三番目、天草郡七三・〇四%、四番目、球磨郡七七・七九%、五番目、宇土郡七九・六八%であります。ベストテンを申し上げたいんですが、ベストファイブまで申し上げます。これは、いい方ですから町村名を申し上げます。熊本市一二五・二、二番目、大津町一二四・四%、三番目、西合志町一一七・七%、四番目、菊水町一一七・二%、五番目、旭志村一一一・七%であります。この数字から見まして皆さんおわかりのように、いかに熊本の北の方の町民所得が県民所得の中で高いかということがわかりますし、いかに今南の方が県民所得の中での市町村民の分配所得がおくれているかという具体的な数字でわかると思います。しかし、これについてはいろんな価値観があると思いますから、それは知事の後ほどお気持ちをお聞かせいただきたいと思いますが、この数字を見て今後県南地区にどんな手を打とうと思っていらっしゃるのか、お聞かせをいただきたいと思います。 第四番目に、広域的な行政への取り組みであります。知事が明日へのシナリオの中で「(県土デザイン編)」というのがございます。その中に「産業間の調和のとれた振興を図り、生活の安全と快適さを享受するとともに、香り高い文化環境や教育環境等が整い、緑豊かな自然の中で、知的興奮が得られる県土づくりをめざすものである。」と書かれております。 したがって、県下全域に文化環境やあるいは教育環境を整備するためには、市町村の理解と協力が必要であります。ところが、現在の市町村の財源というのは大変厳しいわけでありますけれども、市町村のこの際広域的な行政、知事は九十分構想を申し上げられますが、私は少なくともその地域の核になる三十分構想というもので核づくり、拠点づくりというのをしていくべきだという気がしてなりません。広域的な、行政的な判断を知事はどう受けとめておられますか、お聞かせいただきたいと思います。 次に五番目です。農村地域などへの企業の導入であります。細川知事が農業所得を上げるために県の重点施策として取り上げておられることはよくわかります。したがいまして、農業所得は全国で北海道に次いで二番目であります。ところが、農外所得が全国の中で四十三番目です。したがって、農家所得というのが三十六番目ということになるわけです。したがって、熊本県の所得を上げるということにするならば、片や主軸にしておられる農業所得、中堅農家をうんと伸びていただく施策をすると同時に、四十三番目の農外所得のその所得、そこにどのように手を打っていくかということが基本でなければならないと思うわけであります。その兼業農家の皆さん方の潜在雇用力をどんなにつかまえて、そしてそのとらえたのにどういう企業の配置をしていこうと思っておられるのか、この点をお聞かせいただきたいと思います。 第六番目には、国体の施設整備であります。国体を、今度平成十一年に二巡目の国体が内々定したわけでありますが、これには議席におられます八木先生を初め関係の皆さん方の大変な御努力があったことで高く評価をしたいと思います。したがって、これらの施設は、県下のバランスのとれたつくり方をしていかなければならないと思うんですが、例えば、ある町村においては、この際、私たちの市町村有の土地がありますから、そこに後世に残るような立派な施設をつくってくださいという町村が出るかもしれません。そこら辺の市町村の声を聞きながら、バランスのとれたそういう施設設備というのをしていく必要があるんではないかなという気がするんです。したがって、国体の施設設備について、知事はどんな姿勢でこの問題に取り組もうとしておられるのか、お聞かせいただきたいと思います。 最後に、県民の意識調査ですが、五十九年の十月に県民の意識調査をされ、そしてその後まだおやりになっていないようですが、私は、県民の皆さんが何を求めておられるかということを常に把握しておく必要があると思うんです。したがって、企画開発部長、今熊本県に何を住民の皆さんは望んでおられるのか、東京みたいなあんな都市をつくろうと思っておられるのか、田園都市文化圏をつくろうと思っておるのか、あるいは所得は低くてもそれでいいのか、いやいや、そうじゃない、もっと企業誘致をしてくれ、いろんな意見があると思います。多様化したニーズをとらえるためにも県民の意識調査は必要であると思いますが、企画開発部長の調査に対する取り組み、いつごろどのような方法でするかをお聞かせいただきたいと思います。 再登壇、答弁をまちましていたします。  〔知事細川護熙君登壇〕 ◎知事(細川護熙君) 県政の現状と今後のあるべき姿について、数点にわたってのお尋ねでございましたが、まず、県民所得の実態に対する認識につきましては、県民所得の水準が全国の八七・五%にとどまっていること、また、県民所得という指標が他県と比較する指標として最も簡明であるということは事実でございますが、私は、魅力ある田園文化圏の創造に向かって県政を進めるに当たりましては、単に県民所得という指標だけではなく、県民生活の状態をあらわすもっと総合的な指標によって施策の誘導を行っていくことが大変重要なことであると思っております。その場合、生活のゆとりとか安全性であるとか、あるいは快適性などのいわゆる社会指標も考慮に入れる必要があるのではないかと常々考えておりますわけで、県民所得だけではミスリードになるんじゃないかということで何らかの工夫ができないか、かねてから経済企画庁あたりにも新しいそうした指標の検討を具体的に御提案を申し上げ、御検討をいただいたり、あるいはまた県におきましても独自でそうした検討を行っているところでございます。 それから、本県の産業構造のあり方につきましてのお尋ねでございますが、現在の本県の産業構造は、生産額で一次産業が七・四%、二次産業が二七・三%、三次産業が六五・三%となっておりまして、全国平均と比較をいたしまして、一次産業が四・六ポイント高く、二次産業は八・六ポイント低いという状況でございます。 本県は、申し上げるまでもなく、農業が基幹産業であり、一次産業のウエートと一次、二次産業のバランスというのは大体この程度で将来とも維持していくことが農業県である本県としては望ましいのではないかと、私はそのように思っております。経済のソフト化、サービス化ばかりを言うのではなく、そういうことでは必ずしも県経済の活性化につながらないと思っておりますし、三次産業よりも引き続き二次産業にウエートを置いていくことが望ましいというふうに私は考えているところでございます。むしろ問題は二次産業の中の産業構造のあり方でありまして、素材の供給だけでなく、最終的な加工段階の蓄積ということに、労働需給などにも配慮しながら、従来にも増して力を入れていく必要があるのではないかと、そのように思っております。 それから、県南地域の振興策についてのお尋ねでございますが、県土の均衡ある発展は県政の重要な課題であることは申し上げるまでもございません。県内を全体的に見ました場合、所得に北高南低の傾向があることはおっしゃるとおりでございまして、このため、県南地域の振興につきましては今日も特に意を用いているところでございます。現在、八代地域活性化対策を初め、新水俣・芦北地域振興計画、あるいは球磨モデル定住圏計画、天草海洋リゾート建設構想など、各圏域の柱として施策の推進に努めているところでございまして、今後とも、そうしたプロジェクトの推進を軸に県南地域全体の振興を図っていきたいと考えております。 それから、広域的行政への取り組みでございますが、県としては、従来から一部事務組合の事業を支援してまいりましたほか、最近では、広域市町村圏を基礎としたふるさと市町村圏事業や広域市町村圏計画に基づくまちづくり特別対策事業などの広域行政に積極的に取り組んできたところでございます。このうち、一部事務組合の事業として建設されました人吉球磨カルチャーパレスは、圏域の市町村が一体となって施設を共用することで、圏域の住民の方々により良質の施設の提供が可能になった一つの事例であろうかと思います。 それは一つの例ですが、そのようなことから、今後とも文化施設や教育施設など各圏域における拠点施設の整備に当たりましては、行政効率の面とかあるいは県土の均衡ある発展という点から、各市町村の御理解と御協力を得ながら、広域行政的な視点を踏まえて取り組んでまいりたいと考えているところでございます。 それから、農村地域への企業導入についてのお話でございましたが、農村地域の所得を向上させるための企業誘致の進め方につきましては、確かに企業誘致を推進することは県民所得の向上に寄与するものでございますし、地域の振興を図るためにも今後とも積極的に取り組まなければならないと思っております。 農村地域への企業誘致につきましては、従来から農村地域工業等導入促進法の趣旨に沿いまして進めてまいりましたところで、その結果、現在、平成元年三月末までに四十九市町村、六十七団地につきまして農村地域工業導入実施計画が策定され、その後百四十一社の立地が決定をいたしております。地元雇用者は一万一千八百五十八人で、うち農家世帯員からの雇用者は五千六百七十六人、全体約一万二千人の中の約五〇%近くでございまして、農村地域における就業機会の創出に寄与しております。今後とも、兼業農家の就業状況にも留意いたしまして、企業の導入を必要とする地域への誘致を積極的に推進をしてまいるつもりでございます。 それから、国体の施設の配置の考え方についてでございますが、国体の開催に当たりましては、県民総参加という観点から、県下の多くの市町村で競技を実施していただくことが大変大事なことだと思っております。また、各市町村における国体施設の整備につきましては、国体終了後も県民の生涯スポーツの拠点として活用できるように整備されることが望ましいことは当然でございまして、そうしたことを念頭に置きまして目下施設整備計画を御検討いただいているところでございます。  〔企画開発部長飯原一樹君登壇〕 ◎企画開発部長(飯原一樹君) 県民意識調査についてのお尋ねでございますが、お話しのように、県民の皆様が県政に対し何を求め、何を期待しておられるかを的確に把握し、その結果を県政に反映させていくことは重要なことであると考えております。そこで、本年度におきましては、県民のニーズが具体的に把握できるよう、県政が現在抱えている課題につきまして、重点的にテーマを二つないし三つに絞った形で県民意識調査を実施することといたしておりまして、その具体的内容につきましては現在検討を行っているところでございます。  〔水田伸三君登壇〕 ◆(水田伸三君) 私が数字を述べましたことについては知事も御理解をいただきましたが、進むべき道がいろいろ違うと思います。また考え方も違うと思いますけれども、あの実態をとらえながら、今後産業構造の変化等については今のままでよろしいというような基本であるならば、二次産業の中での産業構造を、製造業を求めながら、そして雇用力をふやして県民所得を増すという意味のことでありましたけれども、さらに努力をしていただきたいと思います。 やっぱり政治の基本は、県民の所得を増して心身ともに豊かな生活をしていただくことであり、乏しきを憂えずして等しからざるを憂うるが、これが基本でなきゃなりません。あなたのところは空気がきれいです、水がきれいです、したがって、県民所得はちょっと安かっても低かっても仕方がないでしょうという考え方ではいけません。やっぱり生まれどころが悪かったからどうということではだめですから、バランスのとれた県政というのと今後取り組んでいかなければならないと思うんですが、知事が大変御努力をいただいておることについても多とするところでございます。 なお、農村の工業導入については御努力いただいたことは評価しますが、評価はしますけれども、今なお農外所得がああいう姿であるということを知っていただくことも大事だと思います。 なお、広域行政について大変御理解のあるお答えをいただきましたが、言いにくいことかもしれませんけれども、県下九十八の市町村ですね、この市町村に全国の実態はどうですかということをお知りいただくことも大事なことではないかと思います。したがいまして、熊本県の人口の類似県、面積の類似県を取り上げてみますと、例えば人口での類似県、栃木県百九十一万ですが、ここは市町村の数は四十九なんです。岡山県が百九十三万で七十八なんです。三重県が百七十八万で六十九、長崎県が百五十八万で七十九、鹿児島は私のところよりも二つ少ない、離島を持っておりますからということでございましたけれども、このようなことを考えますと、人口でしましても、よその県よりも市町村の数が大変多い。なお、面積でいたしますと、熊本を中心に宮崎県がちょっと面積は広いんですが、そこは四十四です。静岡県がちょっと広くて市町村の数は七十五です。宮城県が七十一、高知県が五十。類似県がこうですから、今市町村の合併、どうこうというとなかなか問題難しいですけれども、厳しい財政の状況でありますから、まず広域行政的に核づくりをやる。同じ経済圏同士にやっぱり投資効果が上がるようなことをしていくという考え方は、私は大事じゃなかろうかなと思っておりますので、どうかひとつそういうことも県民全部で検討して取り組んでいかなきゃならぬ問題ではなかろうかと思っております。 国体のこと等については、大変御理解がありまして、心から感謝をいたします。 次に、道路公社の設立についてお尋ねをいたします。 私は委員会の席上でもしばしばこの話はしましたが、なかなか実りませんので、これは本会議で言わにゃいかぬばいと思って、本会議で議事録に残していただこうと思って出したわけです。 平成二年度で、四十七都道府県の中で三十三の県が道路公社を設立いたしております。また、高規格幹線道路を抱えている三十の県のうちに、既に二十三の県が道路公社を設立させております。残りの七つの府県のうちに六県までが平成二年度に設立した県または平成三年度に設立を予定しているところ。したがって、残ったのは我が熊本県ばかりでありまして、熊本県のみがまだ道路公社をつくっていない、まだ手をかけていないということになります。 大西建設委員長のときでしたが、静岡県の道路公社を見せに行っていただきました。設立の目的が「幹線道路の整備を促進して交通の円滑化を図り、住民の福祉の増進と産業経済の発展に寄与することを目的とする。」と記してあります。 そこで、土木部長にお尋ねをいたしますけれども、本県のみがこの道路公社をつくっておりません。したがって、どのようにしようと思っておられるのか。つくるというのか考えますというのか。知事は常に発想の転換をせろと言っておられるわけですよ。なりましたすぐの部長ですから気合いが入っていると思いますけれども、どうか前向きの御答弁をいただきたいと思います。 そして、私は、初仕事として、やっぱり阿蘇と天草なんかを有料道路で通すぐらいの発想の転換をしなきゃいかぬと思うんです。静岡県に行って驚きましたが、静岡県は、観光地、観光地は全部道路公社で結びました、そして有料道路方式で。静岡県は観光客の入り込み客が全部で一億五千万人ですよ。熊本県は今やっと三千万をちょっと超したぐらいの──先ほどの人口から言うならほとんど同じですよ。ですから、やっぱり大型のプロジェクトにはこっちからしかけていかなければだめなんです。そういう意味で道路公社設立について部長の答弁を求めます。  〔土木部長杉浦健次君登壇〕 ◎土木部長(杉浦健次君) 道路公社設立についてのお尋ねでございますが、二十一世紀を展望して活力のある地域づくりを進めるには、地域経済の発展に伴う急激な交通需要に対処して、交通基盤の整備としての地方幹線道路を総合的に効果的に整備していく必要がございます。 御案内のとおり、地方道路公社制度は、事業の財源といたしまして借入金による資金を用い、通行料金を徴収いたしまして、一定期間内に償還する手法である有料道路制度が活用できるものでありまして、地方幹線道路の整備の手法の一つとして認識しているところでございます。 本県といたしましては、現在、八代以南で事業中の南九州西回り自動車道が高規格幹線道路として、有料制の活用が原則となっております。有料道路事業の採算性、投資限度額などの観点から、その整備手法として本年度から検討を始めたところでございます。  〔水田伸三君登壇〕 ◆(水田伸三君) 道路公社をつくることについては、西回りの道路等もありますから取り組むという意味に私は受けとめました。ですから、ぜひつくるという目鼻がついたと、そう受けとめております。もしそうでなければ、後ほど訂正をしていただきたいと思いますが、道路公社も一応手をつけて努力をし、必ずするという意味の答弁だと思います。そうでなければ再登壇をお願いをしたいと思うんですが。 私は、恐らく道路公社をつくるならば、採算ベースが合うだろうかとかあるいはそうでなかろうとか、いろいろ思っておられると思うんですが、そうじゃないんです。もう既に鹿児島県は西回り道路のことを、この道路公社でやろうと手がけているわけですから。熊本は、実は今深水先生に確認をしたんですが、平成四年度にあそこの大イベントをおやりになる。熊本県は、水俣病のときには県債という、あの難しいのを私たちの方は御理解をいただいて可決をしている。そのときにあの芦北・水俣地域の振興は何かといったら、これは芦北・水俣地域の方は特別枠として、あの予算はこぶ的存在でやるということを言われたわけですよ。したがって議員の皆さん方も全部御了解ですが、芦北・水俣地域の振興なんていうのは、西回りは当然国はしてやらなきゃならなかったんです。それがまだ遅々として進みませんが、せっかく今調査も進めていっているわけですから、ぜひひとつ──この西回り道路なんていうのを第一発目でいいんです。だから、ぜひひとつ道路公社で手がけていただきたいと思うんです。 さらにはですね、山梨県に行ったときに、僕は取り組み方に驚いたんです。山梨県、副知事が案内をしていただきました。そしてその国道沿線、有料道路をつくってですね、そして、このブドウを見てください、ブドウを食べてください、そして帰りにはワインを買ってくださいと、こう言うんですよ。だから私が、宇土半島でも尾根を通したらどうかと言ったのは、宇土半島の三角の橋のところを今一万二千台通るんですよ。だから尾根を通して、あそこは非常に、阿曽田先生を初め関係の議員さん、果樹関係の方々御努力しておられますから。あれは果樹の宝庫ですよ。それには、この有料道路を通してその沿線に──あそこは何でもとれます。ビワだろうがミカンだろうがブドウだろうが何だろうが、あそこ一帯を全部そういうオレンジベルトにしてごらんなさいよ。そして、見てください、食べてください、そして持ち帰って加工品をというような、そんな発想をしなければならぬ、しかけなきゃいかぬのですよ。ですから、この有料道路を──例えば、私の愛すべき前畑委員長が経済委員長でおりますが、アジアランド構想てあるでしょう。アジアランド構想に、それでは官と民が一体でなければできぬのですよ。そうすると、南関のインターからそこまでは、それじゃ有料でいいじゃないですか、そんな気持ちでこの道路公社とは取り組んでいただかなければならないわけですが、どうも先ほどの答弁では、ちょっとばっかりまだはっきりした返事がありませんでしたので、これは後ほど知事の方からでも補足説明していただければなお結構でございます。 今の問題は一応保留しながら、次の問題に入ります。 熊本インターチェンジでございますが、これは仮称を後ろの方につけるか前につけるかわかりませんが、熊本空港インターチェンジ(仮称)と言っておきましょう。この道路網の整備が地域の産業の発展に大変役立っていることは言うまでもございません。特にインターチェンジができました所は地域の核になります。物と人との交流の拠点になるわけですが、前々からこの地点にインターチェンジをつくってほしいという要望がなされておりました。 御案内のとおりに、インターチェンジつくります場合には、請願インターと開発インターとあるわけです。今全国でインターチェンジをつくってほしいと言っているのは約百カ所を超します。恐らくその百カ所を請願インターでいくということは望めない。したがって、開発インターでなければ仕方がないと思いますが、その開発インターを建てるにしてもつくるにしても、いずれにしろ国幹審にかけなきゃならぬ。国幹審て難しい名前ですが、国土開発幹線自動車道建設審議会というんです。この国幹審にかけなきゃなりませんので、いつの時点の国幹審におかけになるのか。ぜひひとつ早いうちの国幹審にかけて、熊本県の皆さん方が、なるほどインターをつくるように熊本県も前向きで取り組んだと、そういうようになりますように知事の御答弁をいただきたいと思います。  〔知事細川護熙君登壇〕 ◎知事(細川護熙君) 県内における高速交通体系の整備を図る上から、空港周辺に新たにインターチェンジを設置することが必要であるとかねがね考えておりますが、新たにインターチェンジを設置するためには、まず、高速自動車国道法により、国幹審におきまして採択されることが必要でございます。しかし、近年における国の方針は、道路公団の負担による請願インターチェンジの新設は認めておりませんで、もっぱら受益者負担による開発インターチェンジのみを認める方針でございまして、早急にインターを新設するためには、開発インターチェンジ方式による建設を検討せざるを得ない状況でございます。 そこで、県としては、開発インターとしての整備手法の検討を行っているところで、今後地元の協力を得ながら、来年早々にも開催されると予想されます次期国幹審での採択を目指して、国など関係機関に対しまして働きかけをしてまいりたいと思っております。 それから、今のその公社のお話ですが、あわせて私からお答え申し上げますが、実は今鋭意検討をしているところでございまして、阿蘇とか天草とかの方の話の赤字が大分大きいもんですから、それをひっくるめてやるのか、別にやるのかという辺のところの検討を今しているところでございます。もうしばらく時間の余裕をいただきたいというふうに思っておりますんで、よろしく御理解をいただきたいと思います。  〔「大体もうかるごたっところはつくりきらぬでから」呼ぶ者あり〕  〔水田伸三君登壇〕 ◆(水田伸三君) インターチェンジの話はうれしゅうございました。来年早々国幹審が開かれるんだそうでありますが、それにかけるという明確な御答弁をいただきましたので、この問題は了とするわけでございます。 なお、道路公社についても、知事から、あれだけ前向きで真剣に悩み苦しんでおられるなということがわかりますので理解を示したいと思いますが、例えば有料道路の企業局が持っている赤字を言われると思いますが、赤字ばっかり気にしちゃいかぬのです。じゃ観光客を初め波及的な効果がどれだけあったかということも考えなければならぬのです。したがって、先ほど八浪先生の方から御意見があっておりましたが、もうかるところはせぬと。例えば阿蘇と天草は必ずもうかるはずであります。天草の橋はもう本当に早目に取り上げてしまった。取り上げてと言うといけませんが、もう本当に回収ができたわけです。ですから部局の方でですね。私は、しかし一つの発想を言いましたよ。やっぱり政治家というのは夢を持ってそういうしかけていかなきゃならぬということで、方向づけをするのが私たちの仕事ですからそんなことを言いましたが、今言いましたように、アジアランドもよかろう、あるいは西回りもよかろう、その地域ごとにこれは道路公社でいけるということであるならば、ぜひひとつ取り組んでいただきたいと思います。 知事の大変含みのあるお言葉でございましたから、これから先、深追いしますとお前はということになりますので、ここら辺で引き下がりますが、お気持ちを了解をするわけであります。ありがとうございました。 次に、国際協力事業団による国際技術センターの設置についてお尋ねをいたします。 本県が、韓国の忠清南道、中国の広西壮族自治区あるいはアメリカのモンタナ州と姉妹都市締結をしておることは皆さんも御案内のとおりであります。なお、細川知事を初め関係者の皆さん方の御努力で、これらの国と政治、経済、文化あるいはスポーツ等で大変交流を上げておられることについては心から感謝をすると同時に、今後の御活躍をまたお願いをするところであります。 ところで、私は、さきの決算委員会のときに沖縄に視察することができましたが、沖縄で国際協力事業団による国際技術センター、すばらしいのができておりました。感銘をしました。ここは東南アジアの若い皆さん方に沖縄に集まっていただいて、日本のすばらしい技術、技能を教えて、そこで習得したものを自国に帰って国づくりのために努力をするという仕組みであります。 この浦添市というんですが、そこの施設に行きましてビデオを見させていただきました。また若い青年たちとも話をすることができました。町の行事に若者が全部参加をするわけです。そして子供たちが出てきてその若い青年から語学を学んでおります。お別れのパーティーのときなどは抱き合いながら涙しているシーンなどを見させていただきましたが、本当に沖縄に来てよかった、沖縄を好きで帰っております。あの技術センターのすばらしさ。 細川知事は、もう外国を初めいろんなところから招聘をされるほどの国際派であります。国と国との交流というようなのは、外務大臣あるいは外交官が行ってお話し合いをすることも大事でしょうけれども、このように若い皆さん方と一緒に接触をし、勉強させて、まさに肌で触れ合う草の根外交という、これもまた意味があることであろうと思うんです。ぜひひとつ知事もこの施設をごらんいただきまして、熊本にぜひ国際協力事業団による国際技術センターをおつくりいただきますように心からお願いを申し上げて、御答弁をいただきたいと思います。  〔知事細川護熙君登壇〕 ◎知事(細川護熙君) 国際協力事業団は、我が国の政府レベルの国際協力を実施するに当たりまして、全国各地十一カ所に国際研修センターを設置し、開発途上国からの研修員を受け入れて、農林水産、医学などさまざまな分野の研修を実施しておりますが、県におきましても、国際協力を地域の活性化に役立てていくとともに、国際化時代における地方としての責任を担うという視点から積極的な取り組みが必要であると考えております。 本県では、これまで毎年十一名の海外技術研修員を受け入れまして研修に当たってまいりましたが、他方、本年新設されました財団法人国際保健医療交流センターにおきましても、今年度はエイズ感染予防など医療関係の五つの集団研修を受け入れまして約五十名の研修生が熊本で技術研修を行うことになっております。 国際協力を通じて県の国際化をさらに進めていくためには、県民各位の幅広い御理解と御協力をお願いをし、研修生受け入れ数の増加と内容の充実をさらに図っていく必要があると考えております。 研修生受け入れに当たりまして大きな役割を果たす国際研修センターにつきましては、このような国際協力に対する県内各層での取り組みの進捗状況などもよく念頭に置きながら、誘致できるように最善の努力をしてまいりたいと思っております。  〔水田伸三君登壇〕 ◆(水田伸三君) 国際技術センターについても、知事は大変御理解がありまして、つくることで努力をするというはっきりしたお話をお聞きいたしましたので、ぜひおつくりいただきたいと思います。 これは、私はエゴでどこどこにどうというようなそんな小さい考え方は持ちません。しかし、先ほども米原先生ともお話をしたんですが、県南地域が大変おくれているということなどもございまして、あちこちに知事としては核をつくっていきたいと思っていらっしゃると思います。前の伝習農場、二十五町歩あるんですが、近々恐らく知事としては何か大きな目玉の発表があるんじゃないかとひそかに期待をいたしておりますが、その地域の一部分でもいいんです。わずかな面積で、そうそう大きくは要りませんので、米原先生の住む城南町はちょうど熊本の中央でありますから、その中央にそのような目玉の施設は、近々御発表になるならばそれはこっちに置いといて、そのような施設をおつくりいただくならばなあと期待をいたしておりますので、本当にありがたい御答弁をいただきましてうれしゅうございます。 次は、生活環境整備の問題についてお尋ねをいたします。 昭和五十九年の十月に行いました県民調査の中で、今あなたは熊本県に何を求めますかという問いに対して、県民の皆さん方が一番望んでおられるのは、住宅、公園、緑地、上下水道など生活環境を整備してほしいと答えられたのが熊本県の意識調査では第一位でありました。そこで私は、この一位の問題を取り上げ、特に上水道、下水道のみに絞りましてお尋ねをしたいと思います。 熊本の水は本当においしい。これは全国でもうらやましがっておられるわけでございますけれども、またあちこちに熊本の名水ということで売り出しておることも皆さん御案内のとおりであります。また、熊本市を初めとして、地下水で水道を賄っておることなどもこれはまれであります。しかし、そのおいしい水も今や危険信号になりつつあります。 そこで、第一にお尋ねをいたしますが、県民の方々に、熊本の水はおいしい、どこの地域であっても安全で御心配要りません、そのように私たち県としては対応をいたしておりますと、そのような先手を打っていくことが大事であります。日本一づくりというのがありますけれども、どこどこに何があります、どこどこに何をつくりましたという、そういう施設設備の日本一ということだけではないと思います、知事の求めておられる日本一は。熊本に来てください、環境がすばらしい、水もおいしいんだ、しかし、その水について、地下水に対して、あるいは自然水については、県としてはこんなに対応して、どこに何の非の打ちどころもないように総合的に、点検と、あるいはチェックをしておりますし、そのような指導をしておりますということこそ、私は日本一づくり運動だと思うんです。だから、そういう意味での対応をどう考えておられるのか。地下水の監視体制等についてまずお聞かせをいただきたいと思います。 二番目には、各企業が本県の経済に果たしてくれた役割は大変大きいわけですが、その企業によっては、危険な薬品を使ったり、あるいは基準以上の排水をしたりしているところがあると思います。そこで、県の行政としては、各企業に対して、あなたのところはどんな薬品を、あなたのところはどれだけの基準で、全部総点検をする必要があるし、そこら辺をしておられるかどうか。また、していないとすれば、今後どのように対応しようと思っておられるのか。 第三番目、本県の水道普及率、余りにも地下水で恵まれておりますから、パーセントはあんまりよろしくありません。全部調べてみたら驚きましたから、私から言うよりも係の方から言った方がいいと思いますが、普及率は何%ですか。そしてまた、その普及率を向上させるためにはどのように考えておられますか。 以下、四番目には、下水道もしかりであります。いろいろと時間がありませんので要点だけ、下水道の整備普及率はどれだけ、今後どういう長期計画を持って熊本県の下水道を整備しようとしておられるのか、お尋ねをいたします。これは土木部長。 農政部長にお答えを願いたいと思いますが、熊本県全部の排水対策をしますときには、都市部は公共下水、農村部は農村の地域の集団排水事業があるはずです。したがって、その農村地域の集団排水事業対策は今どのくらい進めておるのか。そしてそれに対する長期ビジョンがあればお示しをいただきたいと思います。 以上、申し上げましてお答えをお待ちいたします。  〔環境公害部長佐藤幸一君登壇〕 ◎環境公害部長(佐藤幸一君) 第一点の地下水質の監視体制及び汚染源の究明と対策についてでございますが、地下水は一度汚染をされますと、その浄化に長い期間がかかりますことから、その汚染を未然に防止する必要があります。県では、昭和六十三年四月に県独自の地下水質保全要綱を定めまして、これに基づきまして、県下全域について緊急的に、有機塩素化合物を使用している事業場の井戸を中心に有機塩素化合物の汚染実態調査を行いますとともに、それらの事業者に対する監視、指導を徹底してきたところでございます。 さらに、昨年十月に水質汚濁防止法の改正が行われまして、地下水質中の有害物質の定期観測を行うことが知事に義務づけられましたことに伴いまして、地下水質の汚濁状況を詳細に調査することとしております。平成元年度は、熊本都市圏の十九市町村、既に調査を終了しております。二年度は県北部地域の二十九市町村を実施中でございまして、三年度は県南部地域五十市町村を実施することとしております。 これまでの調査結果によりますれば、一部地域で汚染が確認されていますが、汚染は限られた範囲にあると考えております。なお、汚染が確認された場合は、まず、他の安全な水への切りかえや煮沸して飲用するなどの指導を速やかに行い、さらに周辺への汚染の広がりの確認調査を行いますとともに、各汚染物質の持つ特性を考慮して、専門的な立場からの原因究明に努めているところでございます。これらの結果につきましては、地下水質の調査結果とあわせまして、できるだけ早く公表をすることといたしております。 第二点の工場排水の監視、指導についてでございますが、これに対しましては、水質汚濁防止法等関係法令に基づきまして、使用薬品の種類、量、排水処理施設の構造、性能等について、知事への届け出が義務づけられております。県では、これらの届け出事項につきまして、随時、立入調査、それから排水の水質検査を実施しておりますが、平成元年度は、立入調査等を延べ千七百九十一事業場、それから十九事業場に対しまして改善命令を行ったところでございます。  〔衛生部長星子亘君登壇〕 ◎衛生部長(星子亘君) 三番目に、水道の普及率向上についてのお尋ねでございますが、県におきましては、すべての県民が清浄で豊富な生活用水の恩恵を受けることを基本理念として、昭和五十七年、熊本県水道整備基本構想を策定いたしました。その基本構想では、平成十二年度水道普及率九〇%を目標に、広域化を中心とした水道普及率の向上及び水道施設の整備促進を図ることとしておりまして、その実現のために鋭意努めてきたところでございます。 現状を申しますと、昭和六十三年度末の普及率は七八・三%と、全国平均九四・二%に比較して低率となっております。その大きな要因は、御指摘のように、清浄で豊富な地下水に恵まれ、井戸等の利用が多いためと考えられます。しかし、近年、地域によりましては地下水の水量の減少あるいは水質の低下が見られる向きもあり、水道の整備による安全な水の確保が一層必要になってきている時代であると考えております。 水道は、健康で文化的な生活を営む上で必要不可欠なものでございまして、県としては、普及率の向上のために、まず第一番目、未普及地域の解消、この地域の中に対象人口約二十七万五千人、二番目に、水道施設の普及地域内における未加入者、対象人口が約十二万五千人の加入促進について、今後とも市町村を指導してまいりたいと考えております。 国におかれましても、昨年度から未普及地域の解消のため補助基準を緩和しておりますので、県といたしましても市町村に対して積極的に働きかけております。また、経営基盤が脆弱な小規模水道につきましては、経営基盤強化のため統合、整備を促進してまいりたいと考えております。 いずれにいたしましても、県民生活の基本にかかわる問題でございますから、今後一層基本構想の実現に向けて努力をしてまいりたいと考えます。  〔土木部長杉浦健次君登壇〕 ◎土木部長(杉浦健次君) 下水道の普及率と整備計画についてのお尋ねでございます。 県内の下水道事業は、県が施行しております流域下水道を初めとして二十五市町で実施をいたしております。このうち既に供用を開始しておりますのは、昨年の三月に熊本北部流域下水道が運転を開始いたしましたことによりまして、平成元年度末までに九市十町となっております。全体の普及率は二七%でございます。 清らかな川や海を取り戻し、潤いのある美しい県土をつくるため、県の重要施策として一〇〇のターゲットの中に掲げておりまして、平成七年度末までには四〇%台の普及率を確保するように努力してまいりたいと思います。そのためには、事業を実施しております市町の事業拡大を図るのと同時に、未着手の市町村が早期に事業を開始するよう、県といたしましても積極的に指導、協力してまいりたいと思っております。  〔農政部長木村剛勝君登壇〕 ◎農政部長(木村剛勝君) 農業集落排水事業は、農業用排水の水質保全、農村生活環境の改善を図るため、昭和五十八年度に創設された事業であり、農業集落におけるし尿、生活雑排水等の処理施設を整備するものであります。本県の現状は、昭和五十九年度から取り組み、現在、完了一地区、実施中二地区、本年度新規二地区となっております。 今後の対策につきましては、県が昨年度実施いたしました意向調査において、県下六十市町村七百八十地区の実施希望がありますので、今後国の動向並びに市町村の意向を十分配慮しながら事業の推進に努めてまいりたいと存じます。  〔水田伸三君登壇〕 ◆(水田伸三君) 各部長、真剣に取り組んでおられるわけでございますが、さらに御活躍をいただきたいと思います。 最近、日米構造協議で、いろいろと生活環境の整備のための社会資本の充実を図るように、いろいろと話し合いが進められているようであります。先日の新聞を見ましても「社会資本整備に格差 九州・山口の公共投資と社会資本整備状況」というのが出ておりましたが、水道普及率は熊本県が最下位であります。もちろん、これは恵まれた豊かな資源の水があったと、こういうようなことにも裏づけはされるわけですけれども、今のようなことで取り組んでいただくならばと思います。  〔副議長退席、議長着席〕 なお、これは部長を初め知事にもお願いをしなければならぬことでありますが、非常に社会資本を充実させなきゃならぬ。そして九州が大変おくれていることで、国の方でも認識をしているようでございますから、ぜひひとつ行政投資額等の問題についてもさらに御努力をいただいて、先ほど年次計画等もお立てになっておるようでございますから、その年次計画に向けて、市町村と連絡をとりながら事業に取り組んでいただくようにお願いをしたいと思うんです。 そこで私は、新聞に、全国で一番下水道関係の整備をしているところがあったということで、記事に小さく出ておりました。早速岡山県庁に電話をいたしまして、山手村というんですけれども、資料を送っていただいたわけです。ここは下水道事業、すなわち、土木の受け持つ分野と農村の集落排水で受け持つ分野と決めております。そして県の方も補助金を出して一〇〇%、この山手村は一〇〇%下水道整備であります。ところが、あなたのところはどうして農村地域がこんなに進んだんですかと言ったら、県が大変努力をしてくれますと、こう言う。じゃ県は補助金は何%出しましたかと言ったら、二〇%出しておりますということであります。熊本県は何%出しておるのと言ったら、五%であります。 そこで、総務部長、あなたの出番でございますとこう言いたいんですが、通告をいたしておりませんでしたので質問はしませんが、これだけ言いましたんで、この次からの農政部が上げてきます集団排水事業等については、補助金の五%は必ずや上がるもんだと信じておきます。また、そのように取り組んでいただかなければならぬわけですし、タイミングがいいわけですから、ぜひひとつ──国もそのような気持ちになっておる。そして県も公共とそして農政と両方から攻めて、きれいな川や海に流す水が、というようなことで環境整備をしていただくならばと思うわけであります。 次に、不知火海の浄化対策についてお尋ねをいたします。 先日、宇城地区の県会議員の会合がありましたが、新進気鋭と言うといけませんが、大変頑張り屋の阿曽田県議から、不知火海は全国の内海の中で水の透明度が最も悪いとテレビで放映されたので、この問題を取り上げようやと、こういう御提言がありました。阿曽田先生の計らいで、不知火海を囲んでおります沿岸の県会議員十一人集まっていただきまして、じゃひとつ不知火海沿岸の浄化について、また、その沿岸の地域の振興について、議員団をつくって努力しようというようなことになりまして、大先輩であります小谷先生を会長にお迎えをしまして、やろうということで発足をしたわけでございます。したがいまして、県としても、この議会が取り上げて、きれいになそうという意気込みにこたえていただくならばと思うわけであります。 したがいまして、県としても大変御努力をいただいておることは理解できます。例えば六十三年の三月には「熊本県生活排水対策推進要綱」というものを制定して、生活排水対策ボランティアリーダーですね、四十八の市町村に百二十一の皆さん方にお願いをして、水質浄化運動に御活躍をいただいておられますという報告も承ったわけでございます。 私は、先日NHKのテレビを見ておりましたが、NHKが地域を決めて、全部住民の方々にお集まりをいただいて、家庭雑排水をひとつあなたのところでカットしてくれませんか、どれだけ今までの流し方と、あるいはストッキングを蛇口のところにつけるとか、あるいはてんぷら油は全部ひとつ自分ところで別に処分をするとか、前と後とを検査して、そしてその検査の結果を住民にまた発表して、みずからの手で、きれいな川、きれいな海になしましょうということで、大変私は取り組みに対して、一報道機関でありますけれども敬意を表したいと思います。 そのようなことで取り組んでおりますので、ぜひひとつ佐藤部長の方で、関係の市町村の皆さん方お集まりをいただいて、ボランティアの域を越えて、下水道の果たす役割、保健所の果たす役割、学校教育の果たす役割、みんなぐるみで、住民ぐるみで、この不知火海の透明度がこんなに悪いということであれば、きれいになしましょう、その音頭は県がとっていいという気がします。ボランティア、ボランティアと言うんじゃなくて、ボランティアも大事ですけれども、私はそういう呼びかけをしていいんじゃないかなあという気がいたしますので、佐藤部長の真剣な取り組みの姿勢をぴしゃっと、議員団もできたことでもありますことですから、お答えをいただきたい。協議会をつくること等についてお答えをいただきたいと思います。  〔環境公害部長佐藤幸一君登壇〕 ◎環境公害部長(佐藤幸一君) 不知火海の浄化対策についてお尋ねでございますが、お話しの不知火海の内海の水の透明度のことが報道されたということでございます。これは恐らく、不知火海の奥部、これは非常に干拓地が多うございまして、潮の干満が大きいために透明度が低くなっている、こういうふうに推量しております。 なお、水質につきましては、常時二十地点で環境基準点を設置しまして、定期的に水質調査をいたしております。これによりますれば、汚濁状況を示しますCOD、いわゆる化学的酸素要求量で見ますと、良好な水質が維持されていると、こういうふうに思っております。ただ、不知火海奥部の沿岸地域につきましては、水質の汚濁が進行している地域も一部認められる状況でございます。 この水質汚濁の防止対策といたしまして、先ほど先生がおっしゃいましたように、昨年度から生活排水対策のボランティアリーダー制度を発足をさせたり、いろいろ啓発活動に積極的に取り組んでいるところでございます。 さらに、代表質問で知事がお答えしましたとおり、本県におけるこうした河川や海、あるいは地下水、大気等に係ります環境問題が深刻化する前に、今後の環境行政を総合的かつ体系的に推進していくための基本的な規範として、環境基本条例(仮称)でございますが、九月定例議会に提出したいと考えているところでございます。 環境問題を解決するためには、個人のライフスタイルから民間企業等の事業活動や政策のあり方まで見直していく必要がありますが、今回の条例の制定について検討していく中でも、県、それから市町村、事業者、県民のそれぞれの責務を明らかにしたいと考えております。特に、快適な環境の保全と創造のためには、県民の自発的な取り組みが永続的になされていくことが何よりも重要であり、今後、県としても、全県下それぞれの地域における環境を守り育てていくための組織づくりや活動を支援してまいりたいと考えております。 なお、協議会等を設置すべきであるとの御提案でございますが、御提案の趣旨を参考にしながら、協議会の組織、協議事項等について十分検討いたしまして、関係機関等ともよく協議してみたいと思っております。  〔水田伸三君登壇〕 ◆(水田伸三君) 部長が関係機関とよく協議をした上で進めていきたいということでございます。議員団もできたことでもございますし、ぜひ近いうちに関係の市町村長さんを初めお集まりいただいて、本当に住民パワー、そして行政も、みんなで不知火海を美しく──私は不知火海だけを言うんじゃない。菊池川なども既にやっていらっしゃいます。あるいは鏡川にしたって、住民できれいにやって取り組んでおられます。その御努力に対しては心から感謝をしますけれども、たまたまそういう不知火海沿岸という一つの問題ができましたから、どこがする、どこがするんじゃない。行政としてそういう声が上がったところについて、また、声が上がるような雰囲気をつくって行司役になるのも、私は県の役目ではなかろうかなと思っておりますから、早い時期にその会合ができますようにお願いを申し上げて、次に移ります。 農政連が農政活動として県議会を初め各党にいろいろと要望をされております。私も今回農政連の皆さんに、今皆さん方が一番要望しておられるのは何ですかと、こう問いましたら、幾つかありますけれども、一つは、生活環境の整備であり、一つは、農地の流動化であり年金の問題だということでした。そこで、その三つの問題を取り上げ、農村の生活環境の整備は前段で話をしたとおりであります。いま一つは、農地の流動化の問題と年金の問題です。 以下、進めていきたいと思いますが、熊本県は、御案内のように、西南暖地で恵まれております。農業の粗生産も四千億を超すようになりました。特に細川知事が農業にとって大変関心をいただき、諸施策を充実しておられるからだと思います。心から敬意を表したいと思いますが、明日へのシナリオの中にも、三万戸の中核農家を育てると示しておられます。本県の農業所得を上げるためには、堅実な中核・専業農家を育成するとともに、先ほど申し上げましたようなことで、企業誘致の兼業農家の育成が大事であります。ところが、その専業農家、いわゆる中核農家を育てたいとするならば、兼業農家の皆さん方がうまく農地を流動していただくという仕組みが必要であります。後継者もいない、経営的にもあんまりよろしくない、それでは専業農家の皆さんに農地を流動させようということですが、ところが現在では、農地を流動させたときの税法上の恩典は八百万円までしかないわけで、したがいまして、もう農地を譲って、兼業・中核農家に譲るということであるならば、土地転がしじゃないんですから、農地を農地へ、農家から農家へ、このようなときには、私は税法上の恩典はもっと上になしていいんじゃないだろうか。これは議会で、ここで答弁すべき問題ではありませんが、問題を提起して、どうかひとつ部長もそこら辺の認識を持っていただいて、国のいろんな会合のときに国会の皆さん方にも働きかけて、この問題の解決にお手伝いをしていただきたいなと、こう思うのであります。 いま一つは、農家の実態を一番知っているのは農協だと思いますので、この農地流動については、農協と市町村、農業委員会、県、うまくそういうシステムをつくりながら、この農地の流動が最もしやすい形で、スムーズに流れるようなことでお願いできぬだろうか。これは県の段階でできますので、ぜひひとつお手伝いをしていただきたいと思うんです。 いま一つは、農村の婦人の地位の向上のためであります。農家の皆さんは、先日の新聞を見ておりましたら、農休日もないように忙しいですよという記事が出ておりました。本当に今農家の御婦人はお忙しいと思うんです。ところが、農家の御婦人に今年金制度はないに等しいわけです。兼業農家の皆さんでも専業でも同じですが、農家の御婦人に農業年金をかけようとすると、農家の皆さんは三反から五反までの土地を持たなければ、年金はかけられないということになります。そうすると、御主人からその土地を三反、五反ということになると贈与税がかかってくるわけで、そういう仕組み、難しさがありますから、今全国で御婦人が年金もらっておられるのはわずかに四%でしかないわけです。そういうことはこれは何とかしてやらなければ、日本の農業を支えているというのは御婦人だという気がしてなりません。 そういう意味で、なお──例えば年金を御主人がとっていらっしゃった。ところが六十になって亡くなられた。ところが、公務員の場合は、お亡くなりになったら、あっちゃいけませんけれども、半分は奥さんもらえる。ところが、農家の皆さんは、年金かけておっても年金が奥さんにいかないという仕組みです。そこら辺のことについては何か検討はできないもんだろうか。 これは国策に関係することでもありますけれども、問題提起をしておきますね。農政部長のお答えと今後の努力する意味をお伝えください。  〔農政部長木村剛勝君登壇〕 ◎農政部長(木村剛勝君) 租税特別措置法の改正については、農地保有合理化のための租税特別措置について、譲渡所得の控除額を五百万円から八百万円とする特別控除措置が毎年一年を限度にとられておりまして、従来から控除額の引き上げ及び期限延長を国に要望しているところであります。 なお、経営不振のため農地等の財産処分を行う場合の税制上の特例措置につきましても、今後とも関係団体と連携をとりながら引き続き要望してまいりたいと存じます。 次に、農地流動化の促進は、農業の生産性向上と中核農家育成の基本となる重要な課題であり、「熊本・明日へのシナリオ」にも目標を掲げ推進しているところであります。 農地流動化を進める上で、農協が営農指導や生活相談等を通して行う作付地の集団化や作業の共同化及び農業機械の共同利用等の推進活動の中から、農地の貸し手や借り手を掘り起こし、その貸し借りを調整するとともに、農作業の受委託も推進して、農用地の有効利用と担い手の規模拡大を推進することが必要であります。 県といたしましては、農地流動化の推進のために農協の果たすべき役割の重要性を認識し、農協による農用地の利用調整を推進するため、関係団体と連携をとりながらその積極的な取り組みを推進してきたところであります。しかし、農地の利用調整のためには、農用地利用増進法等の内容や貸し借りが行われる農地情報の管理など、利用調整のための専門的な知識が必要であり、県農協中央会、農地管理公社及び農業委員会との連携をとりながら、農協の農地流動化推進体制の強化に努めてまいりたいと存じます。 なお、元年度から農協が農用地の貸し借りを直接仲介する農地保有合理化促進事業が実施できるようになり、県下の各農協では、その実施に向けて定款の変更や実施規程の整備を進めているところであります。 次に、農業者年金は、農業者の老後の保障と農業構造の改善を目的としており、最近の農家及び農村を取り巻く情勢を背景として、去る四月にその根拠である農業者年金基本法の一部が改正されたところであります。 お尋ねの婦人に対する措置につきましては、この改正により、経営主である被保険者の方が死亡した場合、その配偶者が期間を引き継ぎ年金に加入する道が開かれたところであります。また、農業に専従する主婦の年金加入や受給権者が死亡した場合の遺族年金につきましては、法改正の際、国会の附帯決議にも盛り込まれており、県といたしましても、農業団体と連携をとりながら、制度の改善を関係省庁に働きかけてまいりたいと存じます。  〔水田伸三君登壇〕 ◆(水田伸三君) 国の問題でもございますけれども、認識を改めていただきながら御活躍を願いたいと思います。もっとその問題も突っ込みたいんですが、あと残された時間が少なくなりましたので、教育の問題に触れたいと思います。 一年の計を図る者、稲を植え、十年の計を図る者、木を植え、百年の計を図る者、人を育てろと言われますが、まさに教育は百年の大計であります。 そこで、前段をいろいろと申し上げたいんですが、時間がありません。私は、この問題を取り上げるに当たって、教職員の名簿から無作為で、今あなたが知事になったという気持ち、あなたが教育長になったつもりで、熊本県の教育の底上げをどうしたらいいと思いますかということでアンケートをいたしました。いろんな御意見をいただいたわけです。まず一つは、熊本県の教育レベルを上げるためには教育現場に活力を与えることだと。ある一人の人は、四月の担任の発表のときに、我々子供や保護者の皆さんは担任の先生を選ぶことができぬ、だったらあの先生に担任をしていただきたいという先生になっていただきたい。また、高校進学への率が九六・四%と上がったということはうれしいけれども、基礎学力がまだ満足でない人たちが入って非常に困っているんじゃないか、もっと基礎学力の向上を図っていただきたいということなどがありました。 そこで、問題をへし折って要点だけ申し上げます。 まず第一に、小中学校の基礎学力向上のために国はカリキュラムをつくっておりますが、熊本県で、この学年にはこれだけ押さえなきゃならぬという義務教育の学力の指針というものをつくれぬものだろうか。国のカリキュラムはある、しかし、熊本県の子供たちは各学年これだけは押さえましょうやという指針が僕は必要じゃなかろうかと思います。 二番目は、何といっても、私は学校の先生方の資質を向上させる。先ほどの話で、あの先生に担任をしていただきたいという先生になることです。したがって、先生方の資質の向上のための研修はどのようにしておられますか。 それから、学校体育と社会体育、スペシャリストがおられます。ところが、案外学校教育とそういう技術コーチとはうまくいってません。したがって、そこをうまく調整するためには、私はその技術だけを教えるんじゃなくて、その技術をやるコーチは、学校教育というのは勝っても負けても私は教育のとうとい場だと思うんです。したがって、そういうのをうまくに有機的に、資格などの制度はできないもんだろうか、そういうように思います。 それから、あと二つありましたが、時間の都合がありますので、道徳教育と農業高校の教育は──時間がどうでしょうか。 まず、それじゃ三つをお答えいただいて、次に入ります。  〔教育長松村敏人君登壇〕 ◎教育長(松村敏人君) まず、義務教育におきます基礎学力の向上対策といたしましては、一つには、学力充実研究推進校を二十二校指定をいたしまして、その研究の成果をすべての学校に広めること、第二には、教師向けの基礎的・基本的事項事例集を作成いたしまして、教科の指導の充実を図ること、そして三つ目には、一人一人の子供の学力の実態を把握するために、個人学習診断テストを実施をいたしまして、事例集と連動をさせながら個別指導を図ること、この三つを考えておりまして、これを着実に推進して学力の向上を図りたいと存じます。 それから、二番目の教員の資質向上でございますが、これは教師自身の自発的研修が大きなウエートを持ちますので、指導主事の学校訪問等による校内研修を中心に、一人一人の教師が研修に主体的に取り組むように指導をしているところでございます。また一方、組織的研修といたしまして、初任者研修を初め、三年目及び六年目を対象とした経験別研修、主任や管理職を対象といたしました職能別研修、教科別研修等を実施いたしますとともに、大学等での専門的な研修、企業や海外への派遣研修を実施をいたしまして、広い知見を修得させることに努めているところでございます。 三番目は、スポーツスペシャリストの指導者の問題でございますが、私どもでは、昨年から、日本的に有名な指導者を招聘する特別コーチ招聘事業を実施して指導者養成に努めております。この資格といいますか、指導者の資格付与につきましては、体育協会が実施をいたしまして、文部省が認定をいたしておりますスポーツ指導者の養成制度がございまして、本県でも百四十七名が資格を持っておられます。今後、学校におきます運動部活動や、あるいは平成十一年に開催予定の熊本国体に向けての競技力の向上のために、これらの指導者をできるだけ活用してまいりたいと存じます。  〔水田伸三君登壇〕 ◆(水田伸三君) 熊本県版のいわゆる教育の指針なるものをつくろうということでありました。基礎的・基本的な事例集などをつくるということですが、私は、例えば高等学校の入学試験にどんな問題が出たかと、先ほど指摘されたとおりで、こんな例が出たんです。世の中がよく治まるというんですね。これは高等学校の入学試験です。世の中がよく治まると、「治まる」という漢字を書きなさい。これは小学校の五年生で押さえておかなきゃならぬ。ところが、ある郡全部でですよ。ある郡、どこの郡て言いませんが、六六%の子供がそれを間違ってるんですよ。小学校の五年生で押さえておかなきゃならない。もう一つはですね、一割るの〇・二というのがあります。これをある郡においては二七・八、約三割の生徒が間違ってるんです。ですから、もっと基礎学力を上げなきゃいかぬなあという気がするわけです。したがって、私は、ここには教職員の組合の人も、あるいは文部省も教育委員会もないと思うんです。原点は子供です。だから、その子供たちの資質を上げるために、これだけ押さえようというときは同じテーブルに着いていいと思うんです。そして熊本県の底上げをしよう。 私は、こんな例を言うと学歴偏重といって怒られるかもしれぬけれども、まあひとつ御理解をいただきたいと思うんですが、東大が決してオールマイティーじゃないですよ。しかし知ってください。日本の東大生は三千人です、定員が。一億二千万人おると四万人に一人の東大生が通るということになっているんです。私は学歴偏重とかいろいろ言うんじゃないですよ。基礎学力のことを言ってるんですよ。ところがですね、熊本県で何人通ったかといいますと、大体四万人というのは、百八十四万人ですから四十六人通るのが普通なんです。ところが、本県の場合は二十三人、八万人に一人ということになってるんです。ところが富山県は百十一万人です、人口は。そこに通ったのは七十二名。一万五千人に一人通ってるんです。ですから、どうしてこんなに差があるんだろうかなあと思ったら、小中学校のときから物すごく鍛ってます。だから、鍛うというとすぐ管理教育だなんて言う。そうじゃない。基礎を押さえた上で、自主性を伸ばすというやり方が基礎学力がつくわけですから、私は同じテーブルに着いて、鍛うべきは鍛う、そして個性を伸ばすというふうにしなきゃいかぬなと。 親鸞の言葉にですね、「一念一植の念仏」というのがあるんです。私たちの昔の先祖は、稲を植えるときに、この稲がよく育ってくれと祈りながら植えたというんです。じゃ子供は、自分の担任をする子供は、個性を持っている。その子供たちがどんなに伸んでくれるだろうか、祈るような気持ちで、その子供たちの個性を伸ばすようにしていかなきゃならぬという気がしてならぬわけです。だから、先生方どうかひとつ、ぜひとも先生方の力をつけて、悩み事があったときには一番に担任の先生のところに泣きついていきながら相談のできるという、そんな熊本県の先生になったときに、先ほどお話があった退学者だとか学校拒否というようなのは出ないという気がするんです。 私は、私の町で、青少年教育のために大学講師を呼んでお話を聞きました。ところが、日本じゅうの者が今聴聞の天才になれと言われました。その言葉で結ばれたんですが、やっぱりね、担任の子供の聞き役になるんだと、学校の先生は。職場は職場の上司が聞き役になる、そしてセコンド役になって、こう回ったときには注意をする。セコンド役と聴聞の天才になることがすべてだと言いましたが、どうかひとつ、私たち行政にあずかる者も、県民の皆さんの声なき声を聞き、聴聞の天才になってすばらしい熊本をつくっていかなきゃならぬと思います。 御答弁いただきましてありがとうございました。(拍手) ○議長(北里達之助君) 以上で本日の一般質問は終了いたしました。 明二十日は午前十時から会議を開きます。 日程は、議席に配付の議事日程第六号のとおりといたします。 本日は、これをもって散会いたします。  午後二時三十二分散会...